「不徳の致すところ」の意味とは?使い方を例文付きで解説!
「不徳の致すところ」は丁寧な謝罪表現のひとつです。
ビジネスシーンや公の場で耳にすることの多い言い回しですが、正しく使えているでしょうか。
今回の記事では、「不徳の致すところ」の意味や使い方を例文とともに解説していきます。
Contents
不徳の致すところとは
「不徳の致すところ」とは、謝罪の場でしばしば利用される日本語表現のひとつです。
政治家や有名人の謝罪会見などでもよく使われるため、耳馴染みのある人も多いでしょう。
まずは、その成り立ちや意味について詳しく解説していきます。
「不徳」の意味
「不徳の致すところ」の「不徳」は、「徳」がないことや人の道から外れていることを意味する言葉です。
「徳」とは、その人が修練などによって身に着けた品性や人徳のことを指します。
つまり、「不徳」は品性や人徳に欠けていることを表しています。
「不徳の致すところ」の意味
「致す」は何らかの動きによってある結果を引き起こすこと、とくに良くない結果に至ることを意味する言葉です。
つまり、「不徳の致すところ」とは、「自分の行い、人徳のなさが引き金となって良くない結果を引き起こした」という意味になります。
「不徳の致すところ」という表現は、自分に原因があることを強調して謝罪する際に用いられます。
また、部下や子供への監督不行届きといった、間接的に責任を取る際にも使うことができます。
丁寧な敬語表現のため、目上の相手や取引先といった敬意を払うべき相手に謝罪する時に使える表現です。
「不徳の致すところ」の使い方【例文付き】
続いて、「不徳の致すところ」を使った具体的な謝罪例を紹介します。
自分の失敗を謝罪する時
「不徳の致すところ」のもっとも一般的な使い方は、自分の失敗を謝罪する時です。
自分のミスで仕事に影響が出た時や何らかのトラブルを引き起こした時など、自分に非がある場合は「不徳の致すところ…」で謝罪の意を伝えましょう。
- 先日の件は私の不徳の致すところが原因でございます。重ねてお詫び申し上げます。
- 私の不徳の致すところによりこのような結果を引き起こしてしまい、本当に申し訳ございませんでした。
自分に責任があることを明示し、プラスして謝罪の言葉を伝えましょう。
また、今後は同じミスを繰り返さない旨や解決方法を提示することも大切です。
部下の不手際を謝罪する時
部下の不手際でミスが生じた場合にも、「不徳の致すところ」で謝罪することができます。
監督・指導責任のある自身の力不足を謝罪するニュアンスです。
- 〇〇の伝達ミスは、上司である私の不徳の致すところでございます。大変ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
- 〇〇が大変ご迷惑をおかけしました。上司である私の不徳の致すところだと、強く責任を感じております。
実際の責任は部下本人にあるものの、上司であれば関係なしと無視することはできません。
「不徳の致すところ」で謝罪の気持ちを表明すると同時に、自分も含めて責任を取りたいという意志を伝えることができます。
メールや書面で謝罪する時
「不徳の致すところ」はメールやビジネスチャット、書面で謝罪する場合にも使えます。
【例文】
株式会社〇〇
〇〇部△△課 〇〇様
平素は大変お世話になっております。
先ほどお送りした書面で、〇〇の部分の記載ミスがございました。
私の不徳の致すところによりご迷惑おかけしてしまい、申し訳ございません。
今後はこのようなことがないよう、事前のチェックを徹底してまいります。
何卒ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。
この度は大変申し訳ございませんでした。
ビジネスメールや書面で「不徳の致すところ」を使用する時は、ミスの内容・自分に原因があること・お詫びの言葉をセットで伝える必要があります。
また、今後の改善点を明確にしたほうが、謝罪文として相手に受け入れてもらいやすくなるでしょう。
「不徳の致すところ」を使う時の注意点
「不徳の致すところ」という表現を使う際は、いくつか注意すべきポイントがあります。
重大な場面でのみ使う
「不徳の致すところ」を使って謝罪するのは、重大な場面のみに限定しましょう。
ミスによって深刻なトラブルを招いた時や相手の怒りを買った時には適切ですが、すぐにリカバリーできるようなちょっとしたミスに使うのは、かえって相手に不信感や違和感を抱かせてしまう可能性があるからです。
また、頻繁に口にすると言葉の重みもなくなってしまいます。
相手に使うのはNG
「不徳の致すところ」はあくまで自分に使うものであり、相手や第三者に使うのはNGです。
相手のミスで何らかの問題が起こった時には使えません。
自分以外の人に使うのは不適切であり、失礼な表現になってしまいます。
必ずお詫びの言葉も添える
「不徳の致すところ」だけでは謝罪の体をなしていません。
「自分の不注意である」「自分に責任がある」ということしか提示していないので、必ずお詫びの言葉を添えましょう。
「不徳の致すところ」の類語
最後に、「不徳の致すところ」の類語・言い換え表現をいくつか紹介していきます。
文脈や場面に合わせて、より適切なものを使い分けることをおすすめします。
「不徳の極み」
「不徳の極み」は、「不徳の致すところ」よりも強い謝罪の意を伝えたい時に使える表現です。
極限や極まっていることを意味する「極み」を使うことで、自身の不手際とその反省の意を強調して伝えることができます。
「私の責任で」
「私の責任で」と平易な表現にすることで、わかりやすく責任の所在を伝えることもできます。
「〇〇の件は私の責任です。申し訳ございません」と謝罪すれば、持って回った言い方をするよりも誠実な気持ちが相手に伝わりやすくなります。
いざという時のために「不徳の致すところ」を使い方を覚えておこう
「不徳の致すところ」は、ビジネスシーンで使われることの多い表現です。
ミスやトラブルが起きた時に適切な謝罪ができるように、しっかり覚えておきましょう。
ただし、いくら便利な表現とはいえ、やたらと使うのはNGです。
どんな場面で用いるのが適切なのか「不徳の致すところ」の正しい使い方を理解し、円滑なコミュニケーションに役立ててくださいね。
- 「不徳の致すところ」とは、自分の行いや徳のなさが悪い結果を引き起こしたことを表現する言い回し
- 「不徳の致すところ」は、自分自身のミスや自分の部下のミスを謝罪する時に使うことができる
- 「不徳の致すところ」は自身の重大な場面のみに使用すべきであり、軽いミスや相手に使用するのはNG