伺う(うかがう)の意味|3つの敬語の使い方・例文、注意点を解説
ビジネスシーンや目上の人と会話するときに使うことが多い「伺う」ですが、意外と意味を履き違えていたり、伝わらなかったりする敬語です。
「伺うって言っていたから待っていたのに来なかった」「何を伺われたのかわからなかった」など、よく使う割に意思疎通できていない場合があります。
この記事では、「伺う(うかがう)」の意味や正しい使い方、使うときの注意点を解説します。
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「伺う(うかがう)」の意味
伺う(うかがう)の意味には、3種類あります。
- 聞く・質問する
- 行く・訪問する
- 問う・尋ねる
どの意味の「伺う」も謙譲語であり、自分がへりくだることで相手への敬意を高めることができます。
「聞く・質問する」は、お聞きするという意味合いで使われます。
「行く・訪問する」は、特定の人や場所に足を運ぶ意味であり、「問う・尋ねる」は質問するという意味です。
同じ漢字・読み方で、3つの意味を持つため意図が伝わらなかったり、誤解を招いたりする可能性があるのです。
「伺う」と「うかがう」の違い
「伺う」には、平仮名で表記されている「うかがう」もあります。
この場合は、「窺う」の意味を表したものであり、「伺う」とは意味が異なります。
そっとのぞいて見る。そっと様子を見る。「顔色を―」。様子を見て時機を待ち受ける。
「窺う」は、謙譲語ではなく動詞に値し、目上の人にだけ使う言葉ではありません。
秘かに・そっと…という意味合いが強いので「〇〇さんの顔色を秘かに窺う」のように使うのがベターです。
「伺う」の正しい使い方・例文
使い方や伝え方を間違いやすい「伺う」ですが、ここでは正しい使い方を、例文を交えて解説します。
それぞれの理解を深め、相手に失礼がないように使いましょう。
「行く」ときの伺うの使い方・例文
「行く」を意味する伺うを使うときは、二重敬語の「お伺いします」を使うのが一般的です。
ただし、本来は「伺います」が正しい使い方ですので、場合によって使い分けるようにしましょう。
<例文>
- 14時に御社にお伺いしてもよろしいでしょうか?
- 今からそちらにお伺いします
- 今後伺う際には資料をお持ちします
「聞く」ときの伺うの使い方・例文
「聞く」は、相手の話を聞かせてほしいときに使います。
伺うは、敬語表現ですので社内の人間のことを社外の人に伝えるときに使うのは間違いです。
たとえば「部長のスケジュールを現在伺っておりますので〜」はNG。
<例文>
- 御社の〇〇さんより伺っております
- お話しを伺ってもよろしいでしょうか?
「尋ねる」ときの伺うの使い方・例文
「尋ねる」の意味を持つ伺うは、質問するときに使います。
目上の人だけではなく、初対面の人にも使うことができるので、ビジネス以外でも使うシーンは多いかもしれません。
<例文>
- 次回のお打ち合わせの時間を伺ってもよろしいでしょうか?
- お名前を伺ってもいいですか?
- この商品についてお伺いできますか?
「伺う」を使うときの注意点
「伺う」を使うシーンといえば、ビジネスの場が多いかと思いますが、目上の人や取引先に使うときにはとくに注意が必要です。
ちょっとしたニュアンスを間違ってしまうと、思わぬトラブルに発展してしまうかもしれません。
以下の4つの注意点に気をつけて使うようにしましょう。
二重敬語にならないようにする
謙譲語の「伺う」に、さらに謙譲語を用いて二重敬語にならないよう注意しましょう。
- お伺いいたします
- お伺いさせていただきます
- 伺わせていただきたく存じます
このような使い方は不適切です。
正しくは「伺います」または、「お伺いします」なので気をつけましょう。
敬語を使う相手を間違わない
「伺う」の主語はあくまで自分です。
誰に対して使っている敬語なのか、きちんとわかった上で話すようにしましょう。
謙譲語は自分がへりくだることで相手に敬意を示す言葉です。
間違っても社内の人間の行動を示す際や相手にお越しいただく際に使わないようにしてください。
窺う(うかがう)と混同しない
同じ読み方である「窺う」と混合しないように気をつけましょう。
とくにメールや文章ではまったく意味合いが変わってくるのでトラブルの原因になるかもしれません。
意味が伝わるように使う
「伺う」には、3つの意味が存在します。
- 聞く・質問する
- 行く・訪問する
- 問う・尋ねる
使い方によっては、相手が捉える意味が違ってしまう可能性があるので、紛らわしい表現には注意しましょう。
意味が伝わりづらいかもしれないときは、類語や言い換え言葉を使うといいでしょう。
とくにメールや文章のときは要注意です!
<言い換え言葉例>
- 承る(うけたまわる)=聞く
- 参る(まいる)=行く
- お聞きする=問う
伺うは3つの意味を持つので伝え方に気をつけよう!
ビジネスシーンでよく使われる「伺う」ですが、意味が伝わりにくかったり誤解を招いたりと、少々使い方に工夫が必要な言葉です。
それは一つの言葉に「行く・聞く・問う」の3つの意味があるからです。
また謙譲語は二重敬語になりやすい点もあるため、注意が必要ですが意味によっては「お伺いします」と丁寧な話し方を良しとする場合があります。
ここで紹介した、意味と使い方の注意点を参考にスマートに「伺う」を使える大人になりましょう。
- 伺うとは、「行く・聞く・問う」の3つの意味がある
- 伺うと窺うは意味が違い、窺うとは「秘かに探る」という意味合いが強い
- 伺うを使うときは二重敬語にならないように注意しよう
- ただし「お伺いします」は丁寧な言葉で良しとされていることが多い
- 意味が3つもあるので紛らわしくなる場合は言い換え言葉で対応するのがおすすめ