HSP(繊細さん)が職場でラクに働くには?対策と身近な人の適切な対処法
非常に感受性が強く敏感な人のことを意味する 「HSP(Highly Sensitive Person)」。
HSPの人は自身の敏感な特性により、物事に対してとても繊細になりがちです。
そのため日常生活でさまざまな悩みを抱えることも少なくありません。
とくに1日の大半を過ごす職場は、「働きづらい」「上手くいかない」とストレスを溜めてしまう場面が多々あるでしょう。
「自分もそうかもしれない…」と少しでも共感したのであれば、これから紹介する、HSP(繊細さん)が職場でラクに働く方法や、日常生活を快適に過ごすための対策をぜひ参考にしてください。
また、身近な人がHSPの場合の適切な対処法についてもお伝えするので、HSP気質の友人や同僚がいる人は接し方を見直すきっかけにしましょう。
Contents
およそ5人に1人がHSP
「外部からの刺激に敏感」「周囲の感情に共感しやすい」などの特徴を持つHSP。
これはHSPの研究を重ねてきた心理学者エレイン・アーロン博士によって提唱された概念であり、現代では『およそ5人に1人がHSP(繊細さん)』であるといわれています。
このHSPは、生まれ持ったものといわれており自分がHSPであることに気付いていない人も存在します。
「心配性で生きづらいだけだと思っていたけどHSPなの…?」と気づくきっかけにもなる日常にもたらす影響を次項で解説します。
参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000047860.html
生きづらいと感じる場面が多数
HSPは繊細な特性ゆえ、日常生活において生きづらいと感じる場面が多数あります。
たとえば仕事の場面では、ミスがないよう丁寧に時間をかけて業務を進めたいというのがHSPの特徴であり、複数の業務を同時にこなすことを得意としません。
そのため、「仕事が遅い」と怒られてしまうこともしばしば。
仕事中にありがちな急なスケジュール変更にも、神経をすり減らしてしまい、パニックになってしまうこともあります。
またプライベートの場面においても、「会話中に相手の声のトーンや表情で感情を読み取ってしまう」「些細な一言でも気にしてしまう」などコミュニケーションをとるだけで疲弊してしまうことが多々あります。
このように、仕事でもプライベートでも周囲からの刺激に敏感なため、HSPは日々ストレスを抱えやすいのです。
疲れやすいHSP(繊細さん)が職場でラクに働くには?
HSP(繊細さん)は、他人と同じ空間にいるだけで疲れてしまいます。
生活していく上で仕事は大切ですが、HSPが職場で抱えるストレスは尋常ではありません。
そんなHSPの特性を持つ人が職場でラクに働くためには、どのような対策を講じていけば良いのでしょうか。
具体的に5つの対処法を紹介するので、実践できそうなものからぜひ試してみてください。
自分の許容範囲を把握しておく
HSPは、仕事に関して自分の許容範囲を把握しておくことが大事です。
どのような環境なら仕事が快適にしやすいか、反対にどのような場面で苦しいと感じるのか、事前に把握できていれば無理をすることがありません。
- 一対一の会話は問題ないが、大人数で話すのは苦手
- 人が多い交通機関を使うより自転車での通勤が快適
- ミーティング中の発言は苦手だが、事前にアイディアを出すのは可能
このように自分の許容範囲が大体分かっていれば、業務それぞれに対処する方法も見つかりやすくなります。
自分にとって快適な状態を確認してみましょう。
自分なりにルールを決めて着手する
HSPは「鋭い感覚を持っている」という特徴があり、仕事面においても見えすぎることが多々あります。
そのため「今すぐ進めた方がいい」「着手しなければいけない仕事」とあれもこれも気になってしまい、無理をしがちな傾向にあるのです。
そんなことではパンクするのが目に見えているので、以下のようなマイルールを決めておきましょう。
- 定時に上がるために一日の仕事量を調整する
- 休日は会社の電話に極力でない
- 昼食前や定時前ギリギリの仕事は引き受けない
このようにルール作りをしておくことで、ストレスの軽減に繋がります。
スムーズに業務を遂行するためにも、自分なりの決まりごとを定めておきましょう。
騒音・匂いなどの刺激は自ら遮断
周囲の雑音や匂いなどに敏感なHSPは、これらを遮断する環境作りが必要です。
- 雑音が気になる→耳栓をする
- 匂いが気になる→マスクを付ける
- 視線が気になる→メガネをかける
など自ら工夫するようにしてください。
社内で耳栓をすることは許されない場合があるので、雑音や匂いなどが気になって仕事に支障をきたすと上司に相談し、自分なりに対応策を講じたいことを素直に話しましょう。
対面ではなくチャットやメールを活用
相手の言葉や表情から感情を読み取りやすい特徴を持つHSPは、職場での会議や打ち合わせでは仕事内容よりも相手の感情が気になってしまい疲れを感じやすいです。
そのため、対面ではなくチャットやメールなど、状況に応じてやりとりの方法を変えることをおすすめします。
コロナ禍によりリモートワークが推奨されている社会ですから、チャットやメールを活用することも自然なことでしょう。
ぜひこの機会に連絡手段の見直しをしてみてくださいね。
一人で過ごす時間を設ける
HSPは、あらゆる刺激に敏感なため他人と接する機会の多い職場ではとくに疲れやすいです。
そこで昼食は一人で食べたり、トイレ休憩を多めに挟んだりして一人時間を設けるようにしてください。
些細な時間かもしれませんが、そうすることで疲れも軽減し、モチベーションもキープしやすくなりますよ。
日常を快適に過ごすためのHSP対策
HSPの人は、仕事のみならず日常においても悩みを抱えることは少なくありません。
あくまでその人自身の性質であり病気ではないため、治療法もとくにないのです。
だからこそ、HSP対策はとても重要なものであり、快適に過ごすためには欠かせないものになります。
付かず離れずの距離感を大事にする
HSPは、「人に影響されやすい」「感情がすぐにわかってしまう」など人間関係において悩む場面が多いため、付かず離れずの距離感を大事にしていきましょう。
「関わるのが辛いと感じたら少し距離をとる」「SNSでのやりとりは過剰にしない」など自分の中で丁度良い距離感を保てるよう工夫してみてください。
ストレスを感じやすい人に対しては付き合いをやめる、距離を置くのも一つです。
スルー技術を身につける
他人から入ってくる刺激をスルーできるようになれば、敏感に反応してストレスを感じることが軽減されます。
そこでおすすめしたいのが「ミラーニューロン効果の排除」です。
他人があくびをしていたらつられてあくびが出る、このようなことを「ミラーニューロン」といい、人間の脳が人の感情を伝染することが影響したものです。
この、ミラーニューロン効果を排除できれば過度に共感してしまったり、同じ感情になってしまったりすることは少なくなるでしょう。
頭の中で自分の周りにバリアを張ってください。
そうすることで、ミラーニューロン効果を遮断できるといわれています。
完全無欠の『無の状態』になると実践しやすいのでおすすめです。
少しずつ刺激に慣れていく
刺激を敏感に感じてしまうHSPですが、その刺激を受けまいと避け続けているとかえって刺激に弱くなってしまう可能性があります。
そのため、少しずつで良いので刺激に慣れていくことも大切です。
一気に強い刺激を受けてしまうとストレス過多になるので、前項にある対策法を上手く使いながら慣らしていきましょう。
安心できる場所を作っておく
自分の安らぐ空間・安心できる場所を作っておくのも、有効な方法です。
- 穴場スポットを見つける・作る
- 思い出の写真を飾って、心の拠り所にする
- 家族や親友など悩み相談できる特定の人を作る
など、自分にとって心が落ち着く場所・環境を作っておくといいでしょう。
本からヒントを得る
HSPに関連する商品は、世の中に多く出回っています。
その中でもおすすめの一冊を以下で紹介するので、快適に過ごせるヒントを見つけましょう。
「繊細な人が快適に暮らすための習慣 医者が教えるHSP対策」
出典元:https://www.kadokawa.co.jp/product/322005000816/
精神科医である西脇俊二さんが出版された「繊細な人が快適に暮らすための習慣 医者が教えるHSP対策」。
著者自身も繊細すぎるがゆえに悩んだ経験から、実際に効果があった習慣術を紹介されています。
この本からHSP対策を学び実行に移すことで、あなたの悩み改善に繋がるでしょう。
電子書籍も販売されているので、通勤時間中や休憩中のスキマ時間に読んでみてはいかがでしょうか。
すぐに実践できるアドバイス情報満載です!
心理カウンセラーへの相談も
「日常生活に支障が出ている」「毎日が辛い」という場合、心理カウンセラーへ相談することも一つの方法です。
心理カウンセラーという第三者に悩みを聞いてもらうことで、気持ちが軽くなったり、精神状態が良くなったりするメリットを実感できるでしょう。
身近な人がHSPの場合の対処方法
最後に、身近にHSPの人がいる場合の対処方法を解説していきます。
上手に付き合うことで円滑な関係性が築けるでしょう。
HSPの特性に理解を示す
HSPの特性に理解を示してあげることが大事です。
うつ病や不安障害のような病気ではなく生まれ持った気質であり、HSPに治療は不要です。
だからこそ、HSPの特徴を個性として捉えて接していくことが大切。
またHSPは、「気にしすぎだよ」「大袈裟だよ」といったセンシティブな言葉で傷つくことがあるので、言葉選びには細心の注意を払ってあげましょう。
褒め言葉を交えて会話する
HSPの人には、褒め言葉を交えて会話することが有効です。
人間は褒められると扁桃核という脳の一部が心地良い状態になり、プラス思考をもたらすといわれています。
そのため、積極的に褒め言葉を伝えることで相手は嬉しくなるのです。
HSPは感覚が鋭いため、わざとらしいお世辞はすぐにバレてしまうので絶対にやめておきましょう。
相手の長所を見つけて褒めることで、自分自身もポジティブな性格になれますよ。
辛辣な接し方はNG
HSPは「エンパス」といって、他人の感情を自分の感情のように感じてしまう共感力の高さがあります。
そのため、あなたが喜怒哀楽をむき出しにしてしまうと、それを細部まで感じ取ってしまいストレスを抱く原因を与えてしまいます。
感情を表に出しすぎないよう注意して、やわらかい接し方を心がけてください。
「会話中に笑顔を絶やさない」「優しい口調で話す」などを意識しながら、HSPと上手に関わっていきましょう。
HSPを理解して上手に対策・対処しよう!
HSP(繊細さん)は、仕事やプライベートで悩む場面が多数あります。
しかし、職場でラクに働く方法や日常生活を快適に過ごすための対策はたくさんあるので、自分の性質をマイナスに受け止めるのはやめましょう。
HSPの特性は自分の個性であると認め、向き合っていくことが大切です。
睡眠をきちんととる、バランスの良い食事を心がけるといった基本的なポイントを意識しながら対策法を実践しましょう。
また、身近にHSP気質の友人や同僚がいる人は、この記事で紹介した対処法を意識して上手に付き合っていってくださいね。
関連記事では、HSPのセルフチェック診断ができるチェックリストを用意しているので、ぜひそちらもご覧ください。
- HSP(繊細さん)は、5人に1人の割合で存在していて、生きづらさを感じる場面が多数ある
- 職場でラクに働くには、自分なりのルールや仕事の許容範囲を設定することも大事
- 日常生活を快適に過ごすためには、人との距離感に気をつけたりスルースキルを身につけたりすることが必要
- 身近な人がHSPの場合は、理解を示して辛辣な接し方はしないよう気をつけよう