自尊心を高める方法とは?自己肯定感との違いや自尊心が低くなる原因と特徴を解説
自尊心が低い人は、自分を無力で価値がない人間だと思い込んでしまう傾向にあります。
自分に自信が持てずネガティブになりがちなので、なかなか積極的な行動ができない人もいることでしょう。
しかし、自尊心は努力次第で高めることが可能です。
本記事では自尊心と自己肯定感の違いや自尊心が低くなる原因、高める方法などを紹介します。
自尊心とは?
そもそも自尊心とは何なのでしょうか?
まずは自尊心の意味や自己肯定感との違いを確認していきましょう。
自尊心の意味
自尊心とは、簡単にいうと自分を大切にする心のことです。
これは心理学用語で「セルフ・エスティーム」と呼ばれることもあります。
自分の長所を受け入れることや自分に自信を持つことだけが自尊心ではありません。
短所を含めたありのままの姿を受け入れ、自分という存在を認めることが自尊心といえます。
自己肯定感との違い
自尊心と自己肯定感は似ていますが、やや違うニュアンスを持ちます。
自尊心は自分を肯定する気持ちを持ちながら、自分が改善すべき欠点も理解しています。
一方、自己肯定感は長所だけでなく短所も含めたありのままの自分を認め、自分に自信を持っている状態です。
どちらも自分を大切にする気持ちを持っていますが、自分の欠点をどのようにとらえているかという点に違いがあるといえます。
自尊心が低くなる原因
育った環境や過去の経験は、実は自尊心に強く影響を及ぼしています。
自尊心が低くなってしまう主な原因には、どんなものがあるのでしょうか。
褒められたことが少なく失敗や挫折から立ち直れない
家庭や学校で怒られることが多く、褒められることが少ないと自尊心の低下に繋がります。
自分以外の人から認めてもらえないと感じてしまい、ありのままの自分を受け入れることが難しくなってしまうのです。
また家庭環境が自尊心へ与える影響も少なくありません。
虐待やネグレクト、仲の悪い家族がいるといった環境下で育つと、自尊心が低くなる傾向があります。
気づかぬうちに、人間関係が上手くいかない、生きる意味が分からない、楽しいことがないといった問題を抱えやすくなってしまうからです。
自信もどんどんなくなり、なかなか立ち直ることもできません。
自尊心が高い人が身近にいない
自尊心が高い人が身近にいないのも、自尊心が低くなる原因のひとつです。
自分の自尊心が低いことにも気づかず、それが当たり前だと思ってしまうからです。
また幼いころより家族から愚痴やネガティブな話を聞かされたり、人に合わせてばかりいたりした人も自尊心が育ちません。
このような環境で育つと、人から大切にされるということがどんなことなのかが分からず、自分を大事にできないまま成長してしまいます。
こうしたことも自尊心が低くなってしまう一因といえるでしょう。
自分で決めるという経験が少ない
自尊心が低くなる原因のひとつに、子どものころから自分で何かを決めるという経験が少ないということが挙げられます。
受験や部活はもちろん、友人や恋人にまで口を出してくるような過干渉な親の元で育つとその傾向がより強くなります。
自分の意見を聞いてもらえず、何事も親が決めてしまうので決定権もありません。
そのような親のもとで育てば、自分で決める経験がほぼできずに成長するため、物事を自分一人で決断できなくなってしまうのです。
自分で決めて成功した体験も少なくなるので、自分の決定にも自信が持てません。
自尊心が低い人の特徴
自尊心が低い人には次のような特徴があります。
自分に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
会話が苦手
自尊心が低い人は会話に苦手意識を持っています。
自分に自信がないため、相手と意見が違ったときに自分の考えをはっきり主張することはほとんどありません。
会話の輪の中に入れないので、人間関係がうまく築けずに孤立してしまうことがあります。
自己評価が低い
自尊心が低い人は自分に自信が持てずにいます。
自己評価が低く、自分は何をやってもダメだと思っているため、物事に意欲的に取り組むこともありません。
他人から見たらうまくできているように見えることでも、うまくできていないと思ってしまうのです。
自分を認めるどころか自分の悪いところばかりが気になり、ネガティブな言動を繰り返してしまいます。
やる気が安定しない
自尊心が低い人は、やる気が安定せず日によってコロコロと気分が変わります。
またモチベーションを一定に保つこともなかなかできません。
仕事やプライベートでひとつでも悩みや不安の種があると、そればかりが気になってしまうので、気持ちを安定させるのが難しいからです。
一方で、褒められたときは一段とやる気がアップします。
このように自尊心が低い人は気分やモチベーションの浮き沈みが激しい傾向があります。
言い訳をしがち
言い訳が多いのも自尊心が低い人の特徴です。
自尊心が低い人は承認欲求が高いため、ミスを指摘されたときは保身のために言い訳してしまいます。
自分の存在価値を認められなくても、他人からは価値ある存在として認められたいと思っているのです。
自分で判断できない
自尊心が低い人は、何事も自分で判断しようとしません。
これも自分に自信が持てないことが原因で、判断を間違うことを恐れているからです。
「どこに行きたい?」「何が食べたい?」などの質問にも「なんでもいいよ」「あなたが決めて」と自分の意見をはっきり言わないため、自分の意思がない人と思われる可能性も高いでしょう。
自尊心を高める方法
自尊心を高める方法はもちろん存在します。
自分に自信が持てない、自己評価が低いと感じている人は、次に紹介する自尊心を高める方法を試してみましょう。
書き出すという作業が必要になることが多いものの、お手持ちのスマホでサクッとできるものばかりです。
できそうなものから始めてみましょう。
自尊心が低くなった原因を見つける
自尊心を高めるには、まず自尊心が低くなった原因を見つけましょう。
自尊心が低くなった原因を見つけるには、ノートを使って自分と向き合う方法がおすすめです。
はじめに自分の現状を書き出し、そこから連想する失敗体験や周りに言われたことなどを書き出していきます。
書き出すことで自尊心が低くなった原因を探りやすくなりますよ。
生まれつき自尊心が低い人はいません。
成長過程や大きな失敗など、過去に何かしらの原因があるはずです。
自分と向き合って根底にあるものを見つけ出しましょう。
自分のどんな感情も尊重して受け入れる
自分の嫌な部分を否定するのではなく、すべて受け入れるようにしましょう。
簡単なことではありませんが、『感情のラベリング』をしていくことで徐々に受け入れられるようになります。
感情のラベリングとは心理学用語で、今感じていることを言語化することです。
例えば自分の中にある「怒り」といったマイナス感情を、「憎たらしい」「羨ましい」「恐怖」など、といったように別の言葉で表現できるようにしてみましょう。
そして自分が「怒り」を感じたときなぜ怒っているのか、本音を問いかけていくことで「羨ましい、恐怖も違う。憎たらしいから怒っているんだな」とピッタリくる言葉を探していきます。
この作業をいろいろな感情に対して繰り返し行っていくことで、徐々に感情のラベリングができていきますよ。
次におこなうのは「ジャーナリング」です。
自分が思っていることをすべてノートやスマホのメモ帳に書き出し、自分の感情と向き合いましょう。
最後に、親しい人に気持ちを聞いてもらうのも効果的です。
自分を誇りに思い認める
自分の感情は、良いものも悪いものも全て受け入れましょう。
そしてどんな感情も受け入れられる自分を誇りに思うようにすると自然に自尊心が高まっていきます。
最初は自分を誇りに思うのは難しいかもしれません。
まずは自分を受け入れようと努力していることを褒めて認めてあげることから始めましょう。
成功体験を積み重ねる
自尊心を高めるには、小さなことでも繰り返し成功体験を積み重ねましょう。
成功体験によって「自分は目標を達成できる」と実感できるため、自己効力感が高まるからです。
自己効力感とは、自分が目標や目的を達成できる力を持っていると自分の可能性を認識できることを指します。
これまで何をやるにも「どうせ自分には無理だ」とネガティブに考えていた人も、成功体験を積み重ねることで自分に自信を持てるようになるでしょう。
ただし、目標が大きすぎると簡単には達成できないので、挫折してさらに自尊心を傷つけることになりかねません。
小さな目標を1つずつクリアしていくことが自信につながり、自尊心も高まっていくでしょう。
自尊心をコントロールできるようにする
自尊心を自分自身でコントロールできるようになりましょう。
誰かに評価されたときは自尊心が高まっても、誰にも褒められなければ低くなる…といった状況に陥ってはいませんか?
自尊心を他人の評価に委ねてはいけません。
たとえ褒められなくても自尊心を保てるようになりましょう。
短所を長所へリフレーミングする
リフレーミングとは、物事を見る視点を変えてポジティブな捉え方をすることです。
たとえば「気が弱い」は「やさしい」、「人見知り」は「慎重」、「優柔不断」は「他人の意見を尊重する」といったように、短所も長所に置き換えられます。
まずは自分の短所を長所へリフレーミングしてみましょう。
思いつく短所をいくつか書き出し、前向きな表現に変えていきましょう。
記録したものを何度も読み返していくことで、徐々に認識も変化し自尊心も高められるでしょう。
努力したことや苦労したことなどの経験談を書き起こす
自分がこれまで努力したことや苦労したことなどを書き起こしてみましょう。
小さな努力でも、昔のことでもかまいません。
苦労して乗り越えたことがあればすべて書き出しましょう。
自尊心が低い人は自分を低く評価しがちですが、実際に書き出してみるとさまざまな努力を重ね、苦労を乗り越えてきたことがわかります。
自分の頑張りを見つめ直し、頑張った自分を労ってあげましょう。
「頑張った自分」がいることと「褒められる自分」がいることは自己評価の高まりにも繋がります。
ありのままの自分を受け止めて自尊心を高めよう
自尊心を高めれば、人と自分を比較することがなくなるため、妬んだり落ち込んだりすることがなくなります。
自分に自信が持てるようになるため、今よりもっと積極的に行動できるようになるでしょう。
自尊心を高めるには、自分の良い部分だけでなく悪い部分も含めて丸ごと認めることが大事です。
ありのままの自分を受け止めて、自尊心を高めましょう。
とはいえ、ひとりで悩まず時には心理カウンセラーのカウンセリングを受けてみるのもひとつの手です。
公認心理士(国家資格)や臨床心理士(民間資格)が常駐する相談室に相談に行って自分の思いのたけを話すのもよいでしょう。
まずは自分のやりやすい対処法から試してみてくださいね。
- 自尊心には「自分を尊重してありのままの自分を認める」「自分に自信を持って自分自身を大切にする」という2つの意味がある
- 自尊心が低くなる原因には「褒められたことが少なく失敗や挫折から立ち直れない」「自尊心が高い人が身近にいない」「自分で決めるという経験が少ない」などがある
- 自尊心が低い人の特徴として「会話が苦手」「自己評価が低い」「やる気が安定しない」「言い訳をしがち」「自分で判断できない」などが挙げられる
- 自尊心を高めるには「自尊心が低くなった原因を見つける」「自分のどんな感情も尊重して受け入れる」「自分を誇りに思い認める」などの方法がある