サレ妻の意味とは?不倫されたら慰謝料取れる?離婚する・しない場合の相場も
「サレ妻」とは不倫された妻を意味する言葉です。
突然自分がサレ妻になってしまったら、冷静に行動できる人は少ないもの。
自分が不利にならないためにもあらかじめ知識を蓄えておくことが大事です。
この記事では、不倫された場合の慰謝料請求の方法や注意点について解説していきます。
Contents
サレ妻とは?
サレ妻とは夫から不倫「され」た「妻」を略した言葉です。
不倫をテーマにしたドラマや漫画で使用されはじめた用語であり、現在は日常会話でも使われるほどに浸透しつつあります。
ちなみに不倫「した」側の夫は「シタ夫」と呼ばれ、既婚者の間では見下される対象になることも少なくありません。
もし自分の夫がシタ夫だったり、自分自身がサレ妻だとわかったらしっかり対処することが大切。
今後の自分の人生を豊かにするためにも、サレ妻としてできることやすべきことについてぜひ知っておきましょう。
慰謝料請求には要件を満たす必要がある
不倫されてしまったらまず考えるのが慰謝料請求です。
しかし慰謝料請求するには、その不倫行為が一定の要件を満たしている必要があります。
まずは、慰謝料請求が認められる不倫の要件について見ていきましょう。
不貞行為があった
不倫で慰謝料請求するには「不貞行為」があったかどうかがポイントになります。
この場合の不貞行為とは、既婚者が配偶者以外の相手と性的関係をもつことです。
性交はもちろん、それに近い疑似的行為も不貞行為に含まれる可能性があります。
しかし、いくらパートナーの気持ち的にNGでも2人きりで会っただけ、手を繋いだだけでは不貞行為としては認められないため注意が必要です。
故意・過失により不貞行為が行われた
慰謝料請求が認められるには、不貞行為が故意・過失によって行われていることが必要です。
「故意」は相手が既婚者であることを認識しながら不貞行為を行うこと、またその不貞行為によって婚姻関係の破綻を招くと知りつつも関係を結んだことなどを意味します。
「過失」は、既婚者であることを認識できる状況にあった、婚姻関係が平穏に継続していることを知る状況にあったにもかかわらず不倫関係を結ぶことを意味します。
どちらも不倫相手が客観的に既婚者の状況を認識していた・できた状況だったことがポイントとなるでしょう。
もし、不倫相手が既婚者側から「未婚である」と巧妙にだまされていたり、婚姻関係が破綻していると思わざるをえない状況にあった場合は、故意・過失が認められず慰謝料請求はできません。
不貞行為が原因で結婚生活が破綻した
慰謝料請求するには、不貞行為が原因で結婚生活が破綻したかどうかもポイントとなります。
不貞行為によって夫婦仲が悪くなったことの因果関係がはっきりすれば、慰謝料を請求できるというわけです。
しかし、すでに別居などをして婚姻関係が破綻していた場合は、不貞行為があったとしても慰謝料請求は難しくなるでしょう。
慰謝料の相場は離婚するか否かで大幅に変わる
不倫の慰謝料の相場は離婚するか否かで大幅に変わります。
一般的に離婚する場合の慰謝料は「100〜300万円」ですが、離婚しない場合は「100万円以下」になるパターンが多いのです。
また、婚姻期間や不倫の期間・内容、精神的苦痛の程度によっても金額は変わるため、適切な慰謝料を受け取るためには弁護士に相談するようにしましょう。
不倫による慰謝料の請求方法
慰謝料請求自体は本人間の話し合いの中で請求できます。
相手方が認めている場合は、比較的スムーズに請求することも可能でしょう。
不倫による慰謝料の請求方法の流れは以下のとおりです。
相手と直接話し合う
慰謝料を請求するには、まず配偶者・不倫相手と直接話し合いの場を持つ必要があります。
相手がすでに不倫の事実を認めている場合は、いつ・どこで・どのようなといった事実を具体的に聞き取り、その上で慰謝料の金額や支払い方法、期限などを提示するとよいでしょう。
後のトラブルを避けるために、ボイスレコーダーで話し合いを録音するなど、客観的証拠を残しておくことをおすすめします。
話し合いがまとまったら、その場で「合意書」を作成します。
「合意書」を公証役場で公正証書化してもらえば、万が一支払いが不履行だった場合でも強制執行が可能となります。
内容証明を送る
相手が直接の話し合いを拒否した場合は「内容証明郵便」を送ります。
内容証明とは、問題解決に応じないようであれば法的手段に出ることを考えている、と相手に強く訴える方法です。
いつ・どこで・誰が・どんな内容を送ったかを客観的に証明できるため、裁判でも証拠として使えます。
ただ、相手の正しい氏名・住所地がわからないと送れません。
また、一定の書式が決まっているので作成する際は事前に調べておくなどの注意が必要です。
家庭裁判所に調停を申し立てる
話し合いによる合意が得られなければ、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
家裁での話し合いは基本的に調停委員との間で行われるため、相手方と直接会うことはありません。
話し合いを何度か繰り返し、合意を目指していきます。
裁判で提訴する
調停にまで進んでも話がこじれてしまうケースもあります。
調停不成立となった場合は、最終的に裁判で提訴するしかありません。
裁判で不倫による慰謝料請求を認めさせるには、客観的な不貞行為の証拠が必要となってきます。
本人が裁判することも可能ですが、円滑に進めたいのなら弁護士に依頼するのがベターです。
慰謝料請求するときの注意点
慰謝料請求時には、以下の点に注意しておきましょう。
不貞行為の証拠がないと慰謝料請求は難しい
繰り返しになりますが、慰謝料請求するためには不貞行為の証拠が必要です。
相手がすでに認めており、請求に応じると表明している場合は必要ありませんが、認めていない、調停や裁判に持ち込む場合は客観的証拠が不可欠です。
- 不貞行為があったとわかるメールやSNSでの会話
- ふたりの裸や性的な写真・動画
- ホテルに出入りしている写真・動画
- 宿泊施設の領収書
- 探偵・興信所による調査報告書
一般的には上記のようなものが証拠として認められています。
証拠として採用できるか判断したい場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
慰謝料の決定にはさまざまな判断材料が必要
慰謝料を決定するには、夫婦関係や不倫の長さといったさまざまな判断材料が必要になってきます。
自己判断のみで請求すると相場よりも低い慰謝料で合意してしまう危険性も否めません。
正しく慰謝料を請求するには、専門家である弁護士に相談するのがベターです。
慰謝料の請求権には時効がある
実は慰謝料請求権には時効が存在します。
一定期間を過ぎてしまうと、不倫による慰謝料請求ができなくなってしまうので注意しましょう。
不倫相手への慰謝料請求は「不貞行為を知った日から3年」もしくは「不貞行為のあった日から20年」です。
夫に対しても同様ですが、不倫が原因の離婚に対して慰謝料請求する場合は「離婚した日から3年」で時効となります。
二重取りはできない
慰謝料請求する場合、二重取りはできません。
不倫は2人で行う「共同不法行為」であり、慰謝料の請求対象はシタ夫と不倫相手になります。
例えば慰謝料が「300万円」の場合、請求先は「夫」と「不倫相手」ですが、夫が300万円すべてを支払った場合、不倫相手に対して更に300万を請求することはできません。
夫から「200万」不倫相手から「100万」のように、それぞれからいくら支払ってもらうかは自由に決められますが、慰謝料の合計額は「300万」を超えることはできないという点には注意が必要です。
サレ妻になってしまったと分かったら、まずは慰謝料請求のために証拠集めを始めてみて
配偶者の不倫がわかっても、すぐに冷静に行動できる人は少ないものです。
もしサレ妻になってしまったら、まずはどうしたいのかをよく考えましょう。
離婚や慰謝料請求をすると決めたら第一に証拠集めが必要です。
「証拠として認められるのか」や、「どんなものが証拠となるのか」など、よくわからないことがあるなら、弁護士と相談するのが一番です。
ツラいかもしれませんが、まずは然るべきところの判断を仰ぎつつ準備を進めていきましょう。
- 「サレ妻」とは、夫から不倫「されてしまった妻」のこと
- 不倫で慰謝料請求するには、不貞行為があったか、故意・過失だったか、婚姻関係に影響したかといった要件が認められる必要がある
- 慰謝料請求は話し合いのみで行うことも可能だが、相手が認めない場合は家庭裁判所での調停や裁判での提訴が必要なことも
- 不倫による慰謝料請求には客観的証拠の必要性や時効の存在、二重取りのできない点に注意が必要