熟年離婚とは違う新しい夫婦のかたち卒婚とは?メリットデメリットなど解説

最近よく目にする卒婚という言葉。
「卒婚って何?熟年夫婦の離婚や別居とは違うの?」「仮面夫婦と同じこと?」と疑問に思っている人は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「卒婚」という言葉の意味や特徴について、さらには卒婚のメリットやデメリット、夫婦のかたちを変えるうえでの注意点を解説していきます。
Contents
本で目にした「卒婚」とはどういうこと?
卒婚という言葉は、離婚や別居といった正式な言葉ではなく、本の中で使われた造語にあたります。
離婚はしないにしても、今まで通り夫婦として距離の近いかたちを保つという縛りから少し自分たちを解放して、夫と妻、それぞれの生き方や人生を優先していく新しい夫婦生活のあり方を卒婚といいます。
では、卒婚は別居や離婚とどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの違いについて解説します。
別居との違いは?
別居とは、夫婦が別々に暮らすことを意味し、婚姻関係は継続しています。
一方で卒婚は今まで通りの夫婦のかたち・生活から卒業することを示します。結果として別居を選ぶ夫婦もいるでしょう。
ですが、夫婦によっては、同居したまま卒婚してそれぞれ個人の生活を優先していくかたちを選ぶ場合もあります。
つまり卒婚は、イコール別居とは限らないということです。卒婚で別居を選ぶかどうかは、二人の考え方次第といったところですね。
ちなみに同居のまま卒婚を選んだ場合は、いわゆる家庭内別居に近いかたちになります。
離婚との違いは?
卒婚する場合は、基本的に離婚はしません。離婚は婚姻関係を解消することなので、離婚を選ばない卒婚は、夫婦関係自体は変わりません。
夫婦として戸籍はそのままにした状態で、二人の関係性のあり方を変えて、それぞれの生活を優先していくかたちを取ります。
事実上は離婚に近いかたちにはなるかもしれませんが、卒婚を選べば、離婚による手続きや取り決めを省けるといったメリットがあります。
夫婦でありながら「卒婚」するメリット&デメリット
では次に、夫婦のかたちは維持した状態で、卒婚するメリットとデメリットを解説していきます。
卒婚に興味がある人、卒婚を視野に入れている人は、以下のメリットとデメリットを参考にしてみてください。
5つのメリット
まずは、卒婚の5つのメリットから解説します。
婚姻関係のままなので元に戻れる
卒婚は離婚するわけではないため、お互いの意思次第でいつでも元のかたちに戻れます。
長い人生ですから、今後はそれぞれの意思もどう変わっていくかはわかりませんよね。また、ある程度長い時間を共に過ごしてきた二人だからこそ、情はあるでしょう。いつかは元の夫婦関係に戻りたいと思うこともあるかもしれません。
特に老後は不安な面も多いですし、元の夫婦関係に戻った方がメリットを感じられることもあります。そんなとき一度離婚を選んでいると、再婚には手続きも多いので正直煩わしさも伴います。
ですが卒婚なら戸籍上は夫婦なので、お互いの了解があれば、いつでも元の関係に戻ることができるのです。
干渉しないことからストレスの軽減になる
卒婚の大きなメリットは、相手の干渉から解放されてストレスがなくなることです。
夫婦として一般的な関係を保っている以上は、やはり少なからず縛りが生まれます。ですが卒婚を選べば、お互いの家事の仕方、休日の過ごし方、寝る時間や起きる時間など、あらゆる面において干渉されることがなくなるため、ストレス軽減につながります。
生活スタイルを選べる
自分の好きな生活スタイルを選んで、やりたいことを優先できるのも卒婚のメリットです。
従来通りの夫婦関係を維持したままでは、家族がいる手前、できないこともたくさん出てきます。しかし卒婚を選択した場合、さまざまなしがらみからも解放されるのです。
例えば、卒婚を機に海外への移住を決めたとしても、お互いがそのかたちを了承していれば問題はありません。やりたいことや生活スタイルにこだわりのある人は、卒婚を選ぶことでメリットをより多く見出せるのではないでしょうか。
また、お互いの要望に応じて、「家庭内卒婚」「別居卒婚」「週末卒婚」などさまざまなスタイルを選択できるのもメリットといえます。
相続関係も周囲との関係もそのまま
卒婚の場合は戸籍上は夫婦なので、相続関係も基本的にはそのままです。今後財産の相続があった際には、新しい夫婦のかたちを取っていたとしても、配偶者として相続権が発生するということです。
ですがもし離婚を選んでいれば、戸籍上は他人ということになるため、相続権は発生しません。財産を受け継ぎたくてもそれが叶わなくなってしまうのです。
また、離婚を理由に親戚や共通の知人との関係も同時になくなってしまうことが多いです。しかし卒婚なら周囲との関係も維持できるため、大事な人間関係を失わずに済むというメリットもあります。
子供に心配をかけなくても済む
離婚は、子どもに大きな心配をかける出来事です。子育て夫婦が離婚を選ぶことによって、ひどいショックを受ける子どもたちは多いです。
また、熟年離婚を選べば、子どもは両親の老後をとても心配するでしょう。しかし卒婚なら夫婦のかたちは保ったままなので、心配をかけずに済むというメリットも生まれます。
3つのデメリット
次に、卒婚の3つのデメリットを解説します。
他の人と再婚はできない
卒婚を選べば離婚というかたちではないため、他の人と再婚することはできません。
別の人と夫婦になりたければ離婚を選ぶ必要があります。戸籍上夫婦である以上は、やはり一定の縛りは生まれるものです。
ある程度の生活費が必要になる
卒婚すれば、それぞれの生活スタイルを優先したうえで関係を保っていくことができます。しかしその分ある程度の生活費が必要になるため、貯蓄や収入なしで卒婚を選ぶことは難しくなります。
やはり生活費は二人で共同生活した方が安上がりではあるため、卒婚を選べば必然的にお金が出ていきやすくなるということです。
最悪、離婚になる可能性も
場合によっては卒婚を選んでも、結果として離婚に至る可能性もあります。
卒婚を選んだ結果別居になり、コミュニケーションもほとんど取らなくなれば、夫婦としての情も時間の経過によりだんだん薄れていくかもしれません。そうなれば、夫婦仲の修復も難しくなるでしょう。
また、自分の生活が確立されたことで、戸籍上とはいえ、夫婦の関係が煩わしくなることもあります。卒婚を選ぶ際は、結果として離婚になる可能性もあることを認識しておきましょう。
新しい夫婦のかたちになるために準備しておくこと
卒婚を選んで新しい夫婦のかたちになるときは、後になってトラブルに発展しないためにも、あらかじめ重要なことは話し合っておくことが大切です。
以下で紹介する内容については二人でよく話し合い、取り決めを明らかにしておきましょう。
同居しない場合、どのタイミングで会う?
同居しない場合は、会うタイミングや頻度について話し合っておきましょう。
気のままに、と取り決めをあいまいにしておくと、ほとんど会わなくなってしまうこともあります。
週末や特定の曜日だけ会う、年末年始やお盆、家族の誕生日のときだけ会うなどの生活スタイルを決めておくと、ほどよい距離感を維持しやすくなるはずです。
生活費・年金はどうしていく?
卒婚を選ぶなら、生活費についても明確なルールが必要です。
二人とも仕事をしている場合はお互いが経済的に自立している状態なので、生活費はそれぞれで稼いだお金で賄うというパターンが多いです。
ですが片方が専業主婦(主夫)だった場合は、
- 相手から仕送りをもらう
- 貯蓄を財産分与と同じかたちで分ける
- 新たに就職する
などの方法を取る必要が出てきます。
また、定年を迎えた後の年金の受け取りについても、分け方のバランスなどはあらかじめ決めておくことが大事です。
新しい恋人を作ったら浮気になるの?
卒婚する場合、恋愛についての取り決めも非常に重要になります。
新しい恋人を作ること自体がダメというわけではありません。重要なのは、何がOKで何がNGなのかというルール作りです。
あらかじめ決めておかなければ、新しい恋人を作って恋愛をすれば浮気、つまりは不貞行為と法律的にはみなされてしまうため、あとあとトラブルになる可能性が出てきます。
男性問題・女性問題でトラブルになり、弁護士も絡んで慰謝料を請求され…という結果にならないよう、夫婦間の認識は合わせておきましょう。
病気や介護が必要になった場合どうする?
年齢を重ねれば、避けては通れない問題となってくるのが病気や介護の問題です。
病気になったり介護が必要になったりしたときは、卒婚中の場合どうするのか、ある程度話し合っておく必要はあるでしょう。
完全にそれぞれで解決するのか、医療費や介護費については共同の貯金を使うのかなど、あらかじめルールを決めておきましょう。
熟年離婚ではなく卒婚に踏み切った芸能人夫婦
卒婚を選ぶ人たちは、芸能人夫婦にも少なからずいるようです。
最後に、卒婚に踏み切った芸能人夫婦たちの例を見てみましょう。
清水アキラ
タレントの清水アキラさんは、長野県に住みたいという自分の意思について奥さんと話し合い、卒婚という結果に至ったそうです。
奥さんは東京で暮らすことを選び、清水アキラさんは長野県に家を買いました。
その後も離婚というかたちは選ぶことなく、夫婦のかたちは保ったままで、悠々自適な別居生活を送っています。
加山雄三
俳優・歌手として活躍する加山雄三さんも、奥さんとは卒婚というかたちを取り、自身は日本で、奥さんは年の半分は海外で生活しているようです。
現在は自らが「通い夫」をしていると明かし、時間ができたら日本と海外の半々の生活を維持していきたいと理想を話していました。
夫婦のかたちは人それぞれ!自分が一番幸せな恋愛・夫婦生活を送ろう
卒婚にはさまざまな意見もありますが、夫婦のかたちをどう保っていくかはやはり人それぞれです。
自分たちが幸せでストレスフリーな生活スタイルを選ぶのが一番ですよね。
情もあるし、離婚は面倒だし、年齢を重ねて熟年世代になったからこそもう少しそれぞれの生活を優先しても良いのかもしれない…そう思った時は、離婚ではなく卒婚を選ぶのも一つの手です。
この記事で紹介したことや他の関連記事も参考に、二人でよく話し合って、今後の夫婦形態や関係のあり方を模索していきましょう。