寿退社とは?円満に退職するための手順や会社への伝え方
寿退社が決まっても「何から始めればいいの?」「後味悪い辞め方はしたくない」など、不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
退社の進め方や会社への伝え方を誤ることで、トラブルの原因になるケースも少なくありません。
そこで、寿退社の意味や円満に退社するための手順、会社への伝え方について紹介します。
Contents
寿退社とは
寿退社とは、結婚を機に会社を退職すること。
結婚は慶事であることから「寿」退社と言われています。
以前は、働いている女性が結婚を機に退職する流れは、当たり前だとされてきました。
しかし、現在では共働きや、男性が専業主夫になるケースも少なくありません。
このことから、以前のような「結婚=退社」という風潮が薄れつつあります。
夫婦によって結婚後の生活スタイルはさまざまであり、必ずしも寿退職が女性だけのものとは限らないのです。
寿退社のメリット・デメリット
寿退社はおめでたく、ポジティブなイメージを持つ人が多いですよね。
しかし、実際はメリットがある一方でデメリットもあります。
結婚退職を悩んでいる人は、両方を理解したうえで、自分が納得のいく選択をしましょう。
そこで、寿退社のメリットとデメリットについて紹介します。
メリット
寿退社にはメリットが多く、会社からも祝福されて気持ちよく退職できるイメージがありますよね。
実際に、会社を辞めたことで感じるメリットは大きく、時間や精神的に余裕が出てくる人が多い傾向があります。
そこで、寿退社のメリットについて紹介します。
家事や育児に専念できる
寿退社することで、家事や育児に専念できるようになります。
仕事をしながらの家事や育児に負担を感じる人も多く、両立の難しさに懸念を抱く人も少なくありません。
特に、育児中は睡眠時間が削られ、心身ともに疲労が溜まりやすい時期。
無理して、体を壊したら元も子もありません。
自身の負担を減らし、家事や育児に専念できる環境は、大きなメリットだといえるでしょう。
夫婦の時間が増える
共働きをしていると、夫婦の時間が少なくなる傾向があります。
残業が多い、夜勤で時間が合わないなど、すれ違いが起きやすいのです。
そのため、寿退社することにより、夫婦で時間を合わせやすくなります。
食事のタイミングや起床時間などの生活リズムが合わせやすく、夫婦の時間をより多く持てるのです。
また、夫婦で過ごす時間が増えることでコミュニケーション不足がなくなり「相手が何を考えているのかわからない」という事態を防げます。
夫婦が仲良く過ごすためには、意思疎通は必要不可欠。
寿退社することで夫婦の時間が増え、すれ違いを阻止できるのです。
仕事のストレスがなくなる
仕事をしていれば、何かしらのストレスを抱えているもの。
対人関係がうまくいかない、仕事内容が合わないなどの悩みがある場合は、ストレスから解放されます。
なかには、体調不良や精神が不安定になりやすいなど、不調が続いてる人もいるのではないでしょうか。
問題となっている会社を離れることで心身ともに健康になり、安定した生活が送れるのです。
退職する正当な理由になる
寿退社は、退職する正当な理由として認められます。
理由によっては退職が認められなかったり、引き止められたりするケースもあり、退職がスムーズにいかないことも多いのです。
なかには、仕事を辞めたくても、上司に言いづらい理由を抱えている人も。
寿退社は祝福の気持ちをもって受けとめられ、退職の正当な理由になるため、大きなメリットだといえるでしょう。
デメリット
寿退社は幸せなイメージが強く、一見メリットが多いようにも見えますが、デメリットも存在します。
そこで、寿退社のデメリットについて紹介します。
結婚退職を考えている人は、デメリットを把握したうえで判断しましょう。
再就職が難しい
寿退社することで、再就職が難しくなる傾向があります。
専業主婦になると「外で働きたい」と思う人もいますよね。
しかし、ブランクがあることで、転職活動がスムーズにいかないことがあります。
希望の会社が見つかっても、ブランクをマイナスに捉える企業もあるのです。
つまり、経験者であることが強みにならないケースがあるということ。
そのため、働く意志があっても簡単に就職先が見つからず、苦戦する可能性があるので覚えておきましょう。
収入が減る
寿退社することで、夫婦どちらかの稼ぎのみでの生活が余儀なくされます。
あなたが働いていない分、収入が減り、将来の不安を抱える人も少なくありません。
出産や、将来マイホームを考えている人は、寿退社する前に先のことを考える必要があります。
また、あなたが自由に使えるお金が少なくなる可能性も。
好きなものを自由に買えない生活に、ストレスを感じるかもしれません。
寂しさを感じる
仕事を辞めることで外部の人とのやり取りが少なくなり、寂しさを感じる場合があります。
あなたの職場は自宅であり、家事や育児が中心になりますよね。
そのため、人付き合いが減り、孤独や寂しさを感じるのです。
家に一人でいると最初は「誰にも気を遣わなくていい」と、開放感があるかもしれません。
しかし、その生活に慣れると寂しさを感じ、人との関わりを求めるようになります。
その寂しさから「前職に戻りたい」と思う人も少なくないのです。
寿退社の手順や会社への伝え方
寿退社する時に大切なのが、辞めるための準備。
事前準備が疎かになったり、伝える時期を誤ったりすることで、トラブルの原因になるのです。
そこで、寿退社の手順や会社への伝え方について紹介します。
辞めるまでのさまざまなプロセスを理解し、円満退社を目指しましょう。
寿退社の手順
寿退社する時に、最低限のやるべきことがあります。
しかし、その手順を間違えると、スムーズに退職できなかったり、退職希望日に辞められなかったりと、トラブルの発生に繋がる可能性も。
そこで、寿退社する時の手順について紹介します。
在籍中の従業員に迷惑をかけないように、最低限の配慮をしましょう。
上司に相談
寿退社する時に最初にやるのが直属の上司への相談。
上司のスケジュールが空いている時間帯を確認し、面談の機会をもらいましょう。
相談する時は、一方的に「結婚するので辞めます」という伝え方はNG。
「入籍することになりました。◯月までには退職させていただきたい」と、丁寧な言葉を選び、退職したい意思をはっきりと伝えましょう。
関係者に報告する
上司に報告した後は、関係者にも退職する旨を伝えましょう。
同じ部署の人や同僚など、身近な人から伝えるのがベターですが、伝え方は上司に相談したほうが無難です。
会社によっては、上司から部内の従業員に伝えるケースもあるため、自分のペースで勝手に進めるのは好ましくありません。
また、取引先などの外部への連絡は、上司に確認をしたうえで報告しましょう。
報告の順番を守ることでトラブルの防止に繋がるので、慎重に進めることが大切です。
引き継ぎを行う
寿退社で必要不可欠なのが引き継ぎ。
辞めた後に業務がスムーズに進められるように、引き継ぎは退職者の義務だといっても過言ではありません。
一緒に業務をやりながら教えつつ、マニュアルを作成することで、あなたが退職した後に役立ちます。
誰が見てもわかるマニュアルがあれば、後任の人が休んでも、代わりに別の人が業務を進められるので作成は必須です。
あなたの退職後に業務が滞ることがないように、引き継ぎは丁寧に行いましょう。
私物の整理
寿退社する時は、早めに私物の整理をしましょう。
ロッカーや机の中など、不要なものを片付けて、退職日までに計画的に進めることが大切です。
荷物が多い場合、私物を何回かにわけて持ち帰り、キレイな状態で受け渡すのが鉄則。
私物を残さないように、くまなくチェックしましょう。
特に忘れがちなのが、会社から支給された社員証や名刺の返却。
また、パソコンのデータの整理も必須です。
不要なデータは削除し、余計なものを残さないようにしましょう。
お世話になった人への挨拶
出勤最終日は、お世話になった人に挨拶しましょう。
忙しい時間帯を避けたうえで、直接挨拶するのが好ましいといえますが、外部の人にはメールで感謝の気持ちを伝えます。
また、同じ会社の人には、退職時に菓子折りを渡す人も。
メッセージを添えれば、感謝の気持ちがより伝わりやすくなるでしょう。
どのような形であっても、最後まで誠実な対応を心がけることが大切です。
会社への伝え方
寿退社する時は、会社への伝え方も重要なポイント。
伝え方を誤ると希望日に退職ができなかったり、悪い印象を残したりと、双方に後味の悪さが残るのです。
そこで、寿退社する時にふさわしい会社への伝え方を紹介します。
退職の意思を3ヶ月前に伝える
退職の意思は、3ヶ月前に伝えましょう。
ギリギリに伝えると引き継ぎが間に合わず、迷惑をかけるからです。
また、人員不足の場合、3ヶ月の猶予があれば従業員の募集をかけられますよね。
そのため、会社に迷惑をかけないように、早めに動くことが大切です。
「自分は辞めるから」という無責任な考えで、報告を先延ばしにすることがないようにしましょう。
ただし、退職の意思を伝える段階では退職届の提出は不要。
辞める1〜2ヶ月前に退職願を提出すれば問題ありませんが、不安であれば上司に相談しましょう。
結婚式の日取りを伝える
結婚式の日取りが決まっている場合は、退職したい旨とあわせて伝えるのが好ましいでしょう。
上司に出席してほしい場合は、列席してほしいことを一緒に伝えます。
また、結婚する当事者は会社の人をどこまで呼ぶべきか、悩む人も多いですよね。
もし、会社の人を招待する時は、誰を招待すべきか上司に相談し、助言をもらいましょう。
寿退社の際に必要な手続き
寿退社する際は、保険や税金等の手続きを自身で行う必要があります。
しかし、今までは給料から天引きされていたため、何をどのように手続きすればよいのかわからない人も多いのではないでしょうか。
そこで、寿退社の際に必要な手続きについて紹介します。
健康保険の手続き
退職後は、健康保険をどのようにするのか決める必要があります。
所得がある方の扶養に入ることで、自身で保険料を払わなくても、医療費は安くなります。
退職日の翌日から5日以内に手続きする必要があり、夫(妻)経由で会社に伝えてもらいましょう。
自営業の場合、国民健康保険への加入か、任意継続被保険者制度の利用のどちらかの選択が必要です。
任意継続被保険者制度とは、今まで加入していた健康保険を最大2年間引き継いで加入できる制度。
国民健康保険への加入を希望する場合は、退職後14日以内に自治体の健康保険窓口で手続きが必要です。
任意継続被保険者制度の利用を希望する場合は、退職後20日以内に手続きしましょう。
失業保険の手続き
退職後は、失業保険の手続きも必須です。
退職日から10日以内に前職から離職票が届きます。
離職票が届いたら、自治体のハローワークに行って手続きしましょう。
失業保険は、退職日から一年間受給されます。
ただし、寿退社は「自己都合による退職」と判断され、3ヶ月間は給付の制限があるので注意が必要です。
また、退職後に専業主婦になる場合は、失業保険給付の対象外になります。
退職後に再就職することが条件になるため、しばらく専業主婦でいる場合、失業保険は貰えません。
年金の手続き
退職後は、年金の手続きも必要です。
夫が会社員の場合、扶養に入ると同時に、国民年金にも加入します。
もし、自営業の場合は、退職後から14日以内に自治体の窓口に行き、国民年金保険に切り替えましょう。
手続きには、退職日がわかる証明書・年金手帳・本人確認書類が必要になります。
雇用保険被保険者証では手続きできないので、注意が必要です。
税金の手続き
退職後は、税金の手続きが必要です。
この記事でお伝えする税金は住民税を指し、前年の所得によって金額がいくらになるのか確定します。
そのため、退職後に専業主婦になったとしても、支払いが免除されるわけではありません。
1〜5月に退職する場合は、退職する月の給料から一括で支払います。
6〜12月に退職する場合は、未払分を一括か分割かで選択でき、どちらかの方法で支払いましょう。
普通徴収の場合は、毎年6月、8月、10月、1月の4回にわけて納税します。
寿退社を円満に!最後まで誠意ある対応が大切
今回は、寿退社の意味や円満に退社するための手順、会社への伝え方について紹介しました。
寿退職はポジティブな印象がある一方で、デメリットもあるため、退職する時はよく考えて決断しましょう。
また、寿退社は喜ばしく、おめでたい退職理由であるため、多くの会社は気持ちよく送りだしてくれます。
しかし、寿退職するにあたり、事前準備が必要です。
退職する時の手順や伝え方を誤ると、トラブルを引き起こす可能性も。
あなたがいなくても滞りなく業務が行えるように、できる限りのことをしてから退職するのは、社会人としてのマナーです。
最後まで誠実な対応を心がければ、あなたの退職が惜しまれ、円満退社ができますよ。
退職日当日に慌てないように、時間をかけて計画的に進めていきましょう。
- 寿退社とは結婚を機に退職すること
- 退職することで家庭に費やす時間が増えて仕事へのストレスが軽減する
- 再就職が厳しく夫婦どちらかのみの収入での生活が余儀なくされる
- 寿退社する時は正しい手順と伝え方をすれば円満退社できる
- 保険・年金・税金の手続きは自身で早めに行う