結婚できる年齢は男女ともに「18歳」。女性が16歳ではなくなった理由とは
民法731条の改正により、2022年から結婚可能年齢が男女ともに「18歳」となりました。
とくに女性側は16歳から18歳へと引き上げられた形になることから、その理由や影響が気になるという人もいるでしょう。
今回の記事では、結婚可能年齢が変更された理由や若い年齢での結婚のメリット・デメリットについて解説していきます。
Contents
結婚できる年齢は男女ともに「18歳」
成人年齢の見直しにともなって、2022年4月1日より日本の婚姻可能年齢が変更されました。
男性は従来と変わっていませんが、これまで女性は16歳以上であれば婚姻可能だったため女性のみ引き上げられた形です。
これによって、いままで20歳未満の結婚には親の同意が必要でしたが、現在は法律上18歳の成人年齢に達していれば親の同意なしで結婚することが可能になったのです。
逆に言えば、18歳にならなければ男女ともに結婚することはできません。
これまで女性側のみ若い年齢でも結婚することができましたが、多くの16歳、17歳は学生であり経済的にも心理的にも独立しているとは言い難いのが現実です。
18歳への成年年齢引下げと婚姻開始年齢引き上げは、成人としての権利を保障するとともに、若年層の本来の現状に合わせたものであるといえるでしょう。
女性の結婚できる年齢が引き上げられた理由
これまで16歳でも結婚できたのだから、そのままでも良かったのではと考える人もいるかもしれません。
しかし、女性の結婚年齢の引き上げには以下のような現実的・社会的な理由が存在します。
男女に差異を設けないため
女性の婚姻年齢引き上げの大きな理由の1つは、男女差の解消です。
かつて女性のみが16歳から婚姻可能だったのは、男女間で心身の発達に差があると考えられていたからです。
また、女性は早く結婚して夫に尽くすものといった風潮が影響していたのもあるでしょう。
しかし、現在から見たらこれらの理由は理由になっていないことがわかります。
年齢を根拠とした男女差は存在せず、女性のみが早く結婚しなければならない道理もありません。
さらには国際的にもこうした男女差があるのは望ましいことではなく、国連からの指摘を受けたこともあり、婚姻可能年齢の男女差が撤廃されるに至ったのです。
18歳程度の社会的・経済的成熟が必要なため
現在、16歳で結婚すると聞いたらかなり早婚だと考える人が多いと思います。
多くの16歳は高校生であり、現状としては親の庇護の元で学んでいる人がほとんどでしょう。
もちろん就労している16歳も存在しますが、20代30代と比べたら経済的にはまだまだ不安定なのは否めません。
結婚し、安定した家庭を運営していくなら、ある程度の社会的・経済的成熟が必要です。
現在の日本の高校進学率は98%を超えており、学生である16歳・17歳の子が結婚するのはあまり現実的ではないといえるでしょう。
また、高校程度の就学を終了していない未成年は社会的にも経済的にも成熟していないと見なされるのが現実です。
さらには、近年の平均初婚年齢も男性31.0歳、女性29.5歳(※令和3年度調べ:厚生労働省)であることから、結婚最低年齢が未成年者である16歳から、というのはかなり実情とかけ離れているといわざるをえません。
今の日本の現状と照らし合わせても、18歳以上の社会的・経済的成熟が婚姻に必要とされるのは妥当だといえるでしょう。
若い年齢で結婚するメリット
18歳から親の同意なしで結婚できるようになったことから、若いうちの結婚を望む人もいるかもしれません。
若い年齢で結婚することには、以下のようなメリットがあります。
- 体力があるうちに出産・育児できる
- 自分の時間を若いうちに作れる
- 独身プレッシャーを感じずに済む
- 職場復帰しやすい
- 将来のお金について考える時間が多い
早婚のもっとも大きなメリットは、若く体力のあるうちに出産・育児できる点でしょう。
今は40代からの出産も増えてきていますが、やはり出産や育児には体力が必要です。
同じことをするなら、若く体力があるうちが有利なのは否めません。
子供の遊びにとことん付き合ってあげたい、兄弟もある程度欲しいと考えているのなら、若い年齢の結婚のほうが有利な可能性が高いです。
また、早いうちに育児を済ませることで自分自身の時間を若いうちにつくれたり、キャリアアップしやすい年齢で職場復帰できたりというメリットもあります。
若い年齢で結婚するデメリット
一方、婚姻適齢期よりも若い年齢での結婚にはそれなりのデメリットも存在します。
- 現在の経済的不安がついてくる
- 同年代と遊べる時間が少ない
- 同年代のママ友・パパ友がいない
- 親からの反対を受けやすい
10代20代前半はまだまだ経済的に不安定です。
パートナーと年齢差があり経済的に安定しているカップルならまだしも、どちらも若い場合は切り詰めた生活をせざるを得ないでしょう。
貯蓄などもまだあまりないため、結婚式や新婚旅行、新居などで妥協しなければならない部分も多いです。
さらに、平均的な初婚年齢よりも早い結婚でもっともストレスとなるのが人間関係です。
同世代は独身が多く、周囲のママ友・パパ友は年上がほとんどなので孤独を感じやすくなるかもしれません。
親からの反対も予想できるため、若くでの結婚を考えるなら、メリットデメリット両面をよく検討して、本当にその年齢での結婚が必要かどうかを判断することが大事です。
結婚できる年齢になっても冷静に判断することが大切!
民法改正により女性の結婚開始年齢が18歳に引き上げられ、男女ともに成人年齢である18歳が結婚できる年齢として定められました。
一見、結婚できる年齢が狭められた印象を受けるかもしれませんが、18歳になれば保護者の同意なしで婚姻が可能になったともいえます。
もし若いうちの結婚や婚活を考えているなら、メリット・デメリット両面からよく検討することをおすすめします。
だれもが18歳から結婚できるようになったからこそ、冷静に判断することが大事だといえるでしょう。
- 2022年4月1日より、男女ともに婚姻可能年齢は18歳に統一された
- 男女差の解消、結婚には社会的・経済的成熟が必要といった理由から、女性の結婚可能年齢が16歳から18歳に引き上げられた
- 若い年齢で結婚する場合、体力のあるうちに出産・育児できる、職場復帰しやすいといったメリットがある
- 若い年齢での結婚には、現在の経済的不安の影響、親から反対されやすいとったデメリットがある