暖簾に腕押し（のれんにうでおし）の意味とは？語源や類義語、正しい使い方を紹介

説教やアドバイスが響いていない人に対して、「暖簾に腕押し」という言葉を使いますね。

しかし、聞いたことがある言葉ではあるものの、詳しい意味について知らないという人もいるでしょう。

この記事では、「暖簾に腕押し」という言葉の意味や由来、類語表現、正しい使い方について紹介します。

興味がある人は、ぜひチェックしてみてください。

暖簾に腕押しの意味

「暖簾に腕押し（のれんにうでおし）」とは、どれだけ力を込めても手応えがないことを意味する言葉です。

何をしても反応や張り合いがない相手や、拍子抜けするような状態に対して用いられます。

具体的には「効果のない努力」や「結果が得られない無駄な行動」といった状況を指す言葉です。

暖簾に腕押しの語源には2つの説がある

暖簾に腕押しの語源には、2つの説があるとされています。

まず、ぶら下がった布（暖簾）を手で押しても手応えがないことから生まれた説です。

宙吊りになっている布を押しても、当然ながら抵抗力は感じません。

その手応えのなさを、人や物に対しても使われるようになったというものです。

そして、暖簾と腕押し（腕相撲）をしても勝負にならないことから生まれた説もあります。

ただ吊るされている暖簾と腕相撲をしても勝負にならない様を指して、張り合いがない状況や相手に対して用いられるようになりました。

どちらも手応えがない状況を表しているので、併せて覚えておくといいでしょう。

暖簾に腕押しの使い方と注意点

続いて、暖簾に腕押しの使い方と注意点について紹介します。

人前で誤った使い方をしないように、正しい使い方を把握しておきましょう。

暖簾に腕押しの例文

暖簾に腕押しの正しい使い方を把握する際、例文とともに覚えることがおすすめです。

以下より、暖簾に腕押しを使った例文をいくつか紹介します。

このようにやる気がない人や、肩透かしな状況に対して用いるのが正しい使い方なので覚えておきましょう。

暖簾に腕押しを使うときの注意点

暖簾に腕押しを使うときには、注意すべき点があります。

それは意味合いがネガティブであるため、聞いた相手に悪い印象を与えてしまうことです。

たとえば、先生に対して「部員にもっと練習日を増やそうと提案したのに、暖簾に腕押しだった」と伝えたとします。

すると先生は、その言葉を「部員達にやる気がない」「協力的ではない」といったニュアンスで捉えてしまうでしょう。

また、張り合いのない相手に対して直接言った場合は、嫌な気持ちになってトラブルに発展してしまう可能性もあります。

本人が気軽な気持ちで言ったとしても、聞いた側は深刻に捉えてしまうケースが少なくありません。

とくに商談などの重要なビジネスシーンや、上司や役員といった責任ある立場の人に対しては使わないことをおすすめします。

暖簾に腕押しの類義語

最後に、暖簾に腕押しの類義語を5つ紹介します。

似た意味を持つ言葉を把握しておけば、さらに語彙力を上げられるでしょう。

糠に釘

「糠に釘（ぬかにくぎ）」は、努力に対し望んだ結果を得られないことを示した言葉です。

米糠は米を精米する際に出る副産物で、柔らかい質感を持っています。

一方で、釘は硬い金属製の建材です。

柔らかい糠に釘を打っても釘はしっかりと固定されず、目的を達成することができません。

その状態を指して、どれだけ努力しても成果が得られない状況や、目的に対して不適切な方法で行動している際に使われるようになりました。

馬の耳に念仏

「馬の耳に念仏（うまのみみにねんぶつ）」は、相手に何を言っても効果がないことや、望んだ反応がない状況を表す言葉です。

文字通り、「馬の耳に仏教のお経（念仏）を唱える」という状況から来ています。

馬は念仏の意味を理解することができないため、どれだけ念仏を唱えられても何の影響も及ぼしません。

どんなに意味のある言葉やアドバイスを与えても、相手に全く届かなかったり、受け入れてもらえなかったりしたときに使われます。

豆腐にかすがい

「豆腐にかすがい（とうふにかすがい）」は、無駄で効果のない行為を指す言葉です。

「かすがい」とは、木材などを結合するための金属製の留め具のことを指します。

そのかすがいを柔らかく崩れやすい豆腐に打ち込んでも、当然ながら全く意味を成しません。

根本的に解決策が間違っている場合や、無意味な対策を講じている場合によく使われる言葉です。

馬耳東風

「馬耳東風（ばじとうふう）」は中国の故事成語からきた表現で、他人の言葉やアドバイスを聞かず無視することを意味する言葉です。

東風（こち）は春に吹く温かい風を意味し、馬の耳に吹いても馬は何の反応も示しません。

その光景が言葉になり、全く効果を持たない様子を表現しています。

人が忠告や意見を無視して自分の考えだけを押し通すときや、他人の言葉が全く響かない状況によく用いられる言葉です。

骨折り損のくたびれもうけ

「骨折り損のくたびれもうけ（ほねおりぞんのくたびれもうけ）」は、努力が徒労に終わって効果や成果を得られないことを意味する言葉です。

文字通り、骨を折るほどの努力をしても、疲れて損するだけで何の得もないことを意味しています。

非効率な労働や報われない努力を指摘する際に、よく使われる言葉です。

暖簾に腕押しの意味を知って、正しく使おう

「暖簾に腕押し」はどれだけ力を込めても手応えがないことを意味する言葉です。

ネガティブな意味合いで使われることが多い言葉であるため、人に対して使う際は要注意です。

また、言葉から教訓を得て、人から言われないように日々の立ち振る舞いを省みることもおすすめです。

「暖簾に腕押し」の意味を把握して、適切な使い方をしてくださいね。