億劫とは?|意味・類語・使い方・面倒との違い・心理・対処法まで徹底解説
やる気が起きないときや面倒なときに『億劫』という言葉を使いますよね。
日常生活でもよく耳にする言葉ですが、正しい意味を理解せずに使ってしまってはいませんか。
頻繁に億劫な気持ちになってしまっては、心身ともに疲れ果ててしまいます。
この記事では『億劫』という言葉の意味や正しい使い方を詳しく解説したうえで、億劫な気持ちになる心理や対処法も紹介していきます。
「億劫」とは方言?仏教が関わる?
『億劫』と聞くと一見、方言なのかな?と思いますが、全国で使われる共通語です。
そんな『億劫』には、意外と奥深い語源やルーツがあることをご存知でしょうか。
ここでは『億劫』の意味や語源などを詳しく解説するので、ぜひチェックしてみてくださいね。
意味・漢字の読み
億劫(おっくう)の意味は、国語辞典によると
と記載されています。
面倒や手間を感じて、気分が乗らない状況を意味する言葉です。
語源
『億劫』という言葉は、仏教が由来です。
仏教用語で『億劫』は「おっこう」と読み「非常に長い時間」を意味します。
『億劫』の「億」は1億人のように大きな数の単位ですが「劫」は聞き馴染みがありませんよね。
「劫」は古代インドのサンスクリット語で最長の時間を表す単位です。
仏典によると「一劫」は100年に一度、天人が大岩の上に舞い降りて、身につけている羽衣によって大岩がすり減り、無くなるまでの時間を指します。
「一劫」は考えるだけでも果てしない時間ですが『億劫』は、その1億倍なので、想像もできないほど長い時間だと分かりますよね。
つまり、それだけ途方も無い時間がかかることから、面倒で気が進まないという意味で使われるようになったのです。
類語
『億劫』を他の言葉に言い換えると以下のようになります。
- 面倒くさい
- 物臭
- 無気力など
「面倒くさい」は『億劫』ほど堅い印象がないので友達と話すときにおすすめです。
「物臭(ものぐさ)」は面倒くさがる性格を指す言葉なので「あの人は物臭だ」と使うことができます。
「無気力」はやる気がない状態を指す言葉であり億劫と同じように使えます。
どれも同じような意味ですが、ニュアンスが違うのでシーンに応じて使い分けられるといいですね。
対義語
反対の意味を持つ言葉を知ることで、日本語をより深く理解することに繋がります。
『億劫』の対義語には
- ひたむき
- 精力的
- 真摯
などが挙げられます。
「ひたむき」とは、1つのことに熱中したり、一途に打ち込んだりすることです。
「精力的」は疲れを見せずに物事に積極的に取り組む様子を表します。
「真摯」は真面目や誠実といった意味があり「真摯な態度で取り組む」のように使われることが多いですよね。
対義語のほうがポジティブな印象があり『億劫』自体はあまり良いイメージで使われないことがわかります。
面倒との違い
類語にも挙げられる『面倒』は、同じニュアンスで使うことができるのですが、深い意味を探っていくと少々違いがあります。
そもそも『面倒』とは「手間がかかったり、解決が容易でなかったりして、わずらわしいこと」という意味です。
『面倒』はわずらわしいこと自体を指しますが、『億劫』には「気が進まない」といった意味合いも含まれるので、使う相手や状況に合わすと良いでしょう。
英語
『億劫』を英語に翻訳すると『troublesome』という形容詞が当てはまります。
『troublesome』は「厄介な、面倒な、手に負えない」といった意味です。
他にも「怠惰な、けだるい」を意味する『lazy』や「気が遠くなる」という意味の『daunting』を使うのもいいでしょう。
「億劫」の正しい使い方・例文
『億劫』は気が進まない気持ちを表現するときに便利な言葉です。
「面倒くさい」より、やや堅い表現なので、改まった場や目上の人に対しても使うことができます。
ここでは『億劫』の正しい使い方を例文と一緒に4つのパターンで解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
「億劫だ」
『億劫』はやる気が起きなかったり、気乗りしなかったりする状況で「億劫だ」と使われることが多いです。
日常生活で使うときは気持ちが乗らなくて、面倒に感じたときに使いましょう。
〈例文〉
冬は寒くて何をするにも億劫だ
「億劫なほど〜」
「億劫なほど」と使えば、普段よりも面倒に感じている様子を表現することができます。
他人に対して、自分がいかに気が進まないか意思表示にも役立つでしょう。
〈例文〉
参列するのが億劫なほど、受賞者にとって勲章・褒章制度は厳粛です
「億劫そう〜」
「億劫そう」と表現することで、面倒くさそうな様子や気が進まない様子を表せます。
〈例文〉
「クリスマスプレゼントはユニクロでいい」と彼女は億劫そうに答えた
「億劫な気持ち」
気乗りしない心情を「億劫な気持ち」と表現することもできます。
〈例文〉
今から出品者と商品の価格について交渉すると思うと、億劫な気持ちでいっぱいだ
「億劫」な気持ちとは?3つの心理
やらなければいけない仕事があるのに、やる気が出なかったり、友達との約束があるのに気が進まなかったりと億劫な気持ちになることはありますよね。
どのような心理が働いて、億劫な気持ちになるのでしょうか。
ここでは億劫な気持ちになる3つの心理を紹介します。
知らない・異なることを嫌う
新しいことを始めるときや、いつもとは違うことに挑戦するときに人は億劫に感じます。
これは、特別なことではなく現在のように社会が発達するもっともっと古い時代から受け継がれている日本文化の一つです。
古い時代は、変化することと死はイコールでつながっていました。
例えば、まだ誰も足を踏み入れたことのない山に入り込めば、命の危険があることを人間はインプットしたのです。
このようにインプットされた「恐怖心」を現在でも引き継がれており、知らない・異なることを嫌うのは、いわば人間なら誰でも起こり得る心理といえます。
リスクがあれば避けて通る
失敗する可能性があると億劫に感じる場合もあるでしょう。
物事に取り組むときにリスクがあれば、避けて通ろうとする心理が働くのは当然のことです。
昇進や昇給が期待できる大きな仕事が舞い込んでも、失敗したら評価が下がるかもしれないリスクを感じると気が進まなくなることはありますよね。
億劫な気持ちになるのは、リスクを避けて安全を確保する心理といえます。
年齢とともに変わることに慣れない
「年齢とともに変化を恐れる」のはよく聞きますよね。
年齢を重ねて、今の生活・習慣が体に染みつき変わることに慣れなくなります。
人はそれまでの成功体験を基に習慣を確立するものです。
手に入れた生活を投げ捨ててまで、新しいことにチャレンジしようとは思わないでしょう。
億劫になったときにできる対処法
億劫な気持ちになると何も手に付かず、時間ばかりが過ぎて焦ったり、気持ちが沈んだりしますよね。
最後に、億劫になったときにできる5つの対処法を紹介するので、ぜひ参考にしてモヤモヤを解消しましょう。
できるものから手を付ける
やらなければならない仕事が山積みになると、億劫な気持ちになってしまいますよね。
まずは、できるものから手を付けましょう。
効率良く仕事をこなすには優先順位をつけることが大切ですが、気が進まなければ守る必要はありません。
できるものから処理していくことで、終わりがみえて、やる気が湧いてくるでしょう。
ときには自分を追い込む
ときには自分を追い込むのも、やる気を起こす方法の一つです。
あえてギリギリまで何もしなかったり、別のことを始めたりして、後がない状況を作ってみましょう。
「億劫で手に付かない」と言っている余裕もなくなれば、体は勝手に動くものです。
頑張ったご褒美を決める
どうしても気が乗らないときには、自分で頑張ったご褒美を決めて取り組むのもおすすめです。
人間、目標がなければ、やる気が起きないのは当たり前のこと。
仕事が片付いたら「限定販売のアウターを買う」「ゴディバのミルクチョコレートを食べる」など自分へのご褒美を目標にしてみましょう。
考え方を改める
億劫な気持ちになると、現状を嘆いたり、無気力な自分に嫌気が差したりと後ろ向きな考え方になりがちです。
物事に取り組む前に、考え方を改めてみましょう。
「なぜ億劫なのか」「どうしたらやる気がでるのか」一度、考えを整理することで冷静に状況を把握できるかもしれません。
頑張る時間を決める
やらなければいけないことが多すぎて、先が見えず億劫な気持ちになることもありますよね。
あらかじめ、頑張る時間を決めて取り組んでみましょう。
「10分だけ頑張る」「今から30分集中したら休憩」など、終わりが見えていると自然とやる気は湧いてくるものです。
短い時間から始めることを習慣付ければ、徐々に長時間でも集中し続けられるようになるでしょう。
億劫になったときは休み休みに取り組もう!
億劫な気持ちになって、やる気が起きないのは誰にでもあることです。
ただし、その状態が続くと仕事が溜まってストレスを感じたり、自分に嫌気が差したりして落ち込んでしまう人もいるでしょう。
ネガティブな感情のせいで、さらにやる気が起きなくなり、悪循環に陥ってしまう場合もあります。
億劫になったときは休み休み、できることからこなすのが大切です。
「こういうときもあるか」くらいに軽く考えて、ポジティブにいきましょう!
- 『億劫』とは「面倒に感じて気が進まない」という意味
- 億劫になるのは「知らないことを嫌う」「リスクを避ける」などの心理が働いている
- 億劫な気持ちを解消するには「できるものから手をつける」「頑張る時間を決める」などが効果的!