「やさぐれる」の意味＆語源・使い方の例文・やさぐれる人の心理を解説

「やさぐれる」という表現は、ネガティブな状態を表す時に使われたり自虐ネタとして使われたりしますが、本来はどんな意味の言葉なのでしょうか。

この記事では、「やさぐれる」の言葉の意味や語源・使い方などの詳しい解説をしています。

やさぐれる人の心理や、やさぐれてしまった場合の対処法もあわせて紹介しましょう。

「やさぐれる」の意味とは

「やさぐれる」の言葉には2つの意味があります。

無気力で投げやりになっていたり、自分を見失ったりしている状態を表す言葉として使われることが多いです。

思い通りにならずにすねていたり、ふくれていたりする状態を表す「ぐれる」と似ていたため、混同して使われるようになったと考えられています。

しかし「やさぐれる」の本来の意味は「家出」や「宿無し状態」や「決まった居場所を持たずにふらふらしている様子」のことです。

残念ながら、現代ではこの意味で使われることが少なくなりました。

漢字は？

「やさぐれる」を表記する漢字はなく、全てひらがなです。

当て字を使って表記される場合もまれにありますが、正式には「やさぐれる」に該当する漢字はありません。

類語は？

「やさぐれる」の類語は「すねる」「腐る」「ふてくされる」「いじける」など、ネガティブな感情や態度を表す言葉が代表的です。

その他には「自暴自棄になる」「投げやりになる」「ドロップアウトする」など、問題行動を表現する言葉でも、言い換えられます。

ひどく投げやりな態度になっているのか、軽くすねているだけなのか、その人のやさぐれ度合いによっても、該当する類語は変わるでしょう。

「やさぐれる」の語源

「やさぐれる」の語源は「やさ・ぐれる」の2つの言葉だと言われています。

「やさ」は、刀を納める鞘(さや)を不良仲間同士で逆さまに言っていた隠語が由来で、正式に収まるべき場所、つまり「家」のことです。

「ぐれる」は正しい道から外れてしまうことを意味します。

したがって「やさ・ぐれる」は、元々は家出のことを指し「やさぐれ」は家出人を表す言葉だったのです。

しかし、次第に「やさ・ぐれる」の「ぐれる」の部分が、正しい道を踏み外す「ぐれる」の意味と混同されるようになっていきます。

その結果「やさぐれる」は、現代のような「すねて投げやりになる」という意味に変化したのです。

「やさぐれる」の使い方【例文付き】

「やさぐれる」という言葉は、人がふてくされている態度や、やけになっている感情・行動の表現に使われます。

以下でその例文を確認してみましょう。

すねたり、ふてくされたりしている態度

• 彼は失恋したばかりでやさぐれているので、合コンに誘っても来ないでしょう
• 期待した昇給がなかったので、やさぐれてやる気が出ない

自暴自棄な感情や行動

• ダイエットに挑戦したが、挫折したのでやさぐれて爆食いした
• 仕事が忙しくてやさぐれる後輩を励ましたら、かえって気を悪くしたようだ

やさぐれる人の心理

家族や友達、同僚などがやさぐれていて気の毒な時や、ちょっとしたことでやさぐれやすい人がいる時は、どのように接したら良いのか迷いますよね。

自分の立場や考え方を押し付けるのではなく、相手の事情や性格もきちんと理解したうえで、気持ちに寄り添った対応をしてあげたいものです。

次は、やさぐれる人の心理について紹介しましょう。

ひとりになりたい

やさぐれている人は、期待していたことが叶わなかったりして辛い経験をして、精神的にショックを受けています。

すぐに気持ちを切り替えられず、気持ちが落ち着くまでは一人になりたくて人を避けている可能性があるでしょう。

もともと人間関係を築くのが苦手な人も、やさぐれやすい傾向があります。

許せる範囲を超えて他人が近付いてくると、反抗的な態度を取ったり感情的になったりして、人を遠ざけることもあるでしょう。

誰も信用できない

過去に恋愛相手など信用していた人から裏切られた経験のせいでやさぐれ、誰のことも信用できなくなることがあります。

人間不信に陥っているので、他人から優しくされたり好意を示されたりしても「下心があるのではないか」「また裏切られるのではないか」と疑って素直になれません。

次第に誰からも相手にされなくなって、自らも社会から距離を置くようになってしまうでしょう。

孤独感に苛まれている

孤独感に苛まれて、やさぐれている場合もあります。

「自分の心の傷を誰かに分かってほしい」「信頼できる人に全てを打ち明けて楽になりたい」と心の底では願っているのに、自分だけで抱え込んでしまうのです。

周りの人を信用できない場合や、人に弱みを見せられないタイプの人に多くみられます。

全てひとりで解決しようと頑張るあまり、思い通りに進まずやさぐれてしまい、ますますネガティブになることもあるでしょう。

自尊心が傷ついている

完璧主義者の人がやさぐれている時は、自分が掲げた目標が達成できず自尊心が傷ついているかもしれません。

結果のみを追求し、大成功か大失敗かの極端な判断をするため、ちょっとでもうまくいかないと自信をなくし「もうダメだ、どうなってもいい」と全てを投げ出してしまうのです。

人格を否定された時や、自分が誰からも信頼されていないと感じた時にも自尊心は深く傷き、やさぐれることがあります。

自分は価値のない人間だと一度思い込むと、「どうせまた失敗して非難されるだけだから」とネガティブ思考になって、何も手がつかなくなってしまうでしょう。

やさぐれたときの対処法

辛い出来事の後、自分自身がやさぐれてしまって、なかなか前向きになれない時もあるでしょう。

普段真面目でポジティブな人ほど、気持ちを切り替えて次に進まなくてはと焦りますが、心の傷が大きいほどうまく行かないものです。

最後に、やさぐれているときにはどうしたら気持ちが楽になるのか、対処方法を紹介します。

好きなことに没頭する

やさぐれてやる気が起きないときには、無理に動こうとしてもうまくいきません。

そんな時は思い切って、今しなければいけないことを手放して、自分の好きなことに没頭すると、良い気分転換になるでしょう。

気になっていたドラマを一気に見たり、朝からひとりでカラオケに行って1日中歌ってみたり、普段は時間がもったいなくてできなかったことにも挑戦してみましょう。

ジムやウォーキングで汗を流したりして、無心で体を動かすのもおすすめです。

信頼できる人に相談する

やさぐれて気分が晴れない時は、信頼できる人に相談してみるのも良いでしょう。

アドバイスが得られなかったとしても、人に話すことで楽になるし、話しているうちにやさぐれた原因や解決のヒントが見つかるかもしれません。

相談する時は、きちんと話を聞いてくれる人や口が堅い人を選んで「聞いてもらいたいことがあるんだけど、いいかな」と確かめてから、話してみてください。

相手にも都合があるので、いきなり電話したり長文メールを送ったりしないで、挨拶や世間話から始めると良いでしょう。

心の疲れがとれない場合は病院に行く

一時的にやさぐれることは誰にでもあります。

気分転換をしても心の疲れが取れない場合は、プロの手を借りて解決することも必要です。

カウンセリングを受けたり、精神科の診療を受けたりするのも、特別なことではありません。

気分が沈んで何もする気が起きなかったり、よく眠れない日が続いたりするようなら、ごまかさずにきちんと悩みに向き合いましょう。

原因不明の頭痛などの体調不良が続く場合は、ストレスによるものかもしれません。

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裏切られるとなかなか立ち直ることはできないでしょう。

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やさぐれるときは誰にでもある

「やさぐれる」の元々の意味は、家出して宿なしの状態でふらふらしていること。

しかし現在では、すねていじけたり、やけになったりしている状態を表します。

やさぐれる原因は、ショックな事件で心が傷ついて自分の世界に閉じこもってしまったり、人に相談することもできずに悩みを抱えたままでいたりすることです。

やさぐれたときには、無心で打ち込めることに没頭して気晴らしをしたり、信頼できる人に話を聞いてもらったりしましょう。

やさぐれた心持ちが続くようなら、医師の治療を受けることも必要です。

日々の暮らしの中で、やさぐれてしまうきっかけは誰にでも訪れます。

自分でも他人でも、やさぐれることを変に特別視せず、長い目で見守ってあげましょう。