示唆(しさ)の意味とは|正しい使い方・例文・類語を解説
「示唆」という言葉を見かけたことはありますか?
日常生活では、あまり使われない言葉なので正しい意味を理解していない人もいるはず。
この記事では、「示唆」の意味や正しい使い方を解説します。
大人の教養として、正しい日本語の意味を理解しましょう。
Contents
「示唆」の意味
「示唆(しさ)」とは、それとなく示し教えるという意味です。
物事を直接的に伝えるのではなく、間接的に判断できるような形で伝えるときに使われます。
日常生活では聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、ビジネスシーンや研究論文などで用いられることが多いです。
示唆の使い方・例文
「それとなく示し教える」という意味の「示唆」を使った表現は多くあります。
ここでは、示唆の使い方を例文を交えて解説するので、ぜひ参考にしてください。
示唆する
示唆は、「示唆する」という動詞で使われるのが一般的です。
あえて明言はせず、聞き手に推測させるような内容があるという意味で使われます。
研究論文では仮説を提示するときに、「示唆される」という表現を用いることが多いです。
<例文>
- 彼の発言はこれからを示唆したようなものだった
- このような事態を示唆するつもりはなかった
- 〇〇には、以下のようなメリットがあることを示唆される
示唆に富む
「示唆に富む」とは、暗示めいた情報を多く含むという意味です。
メッセージ性が強く考えさせられたり、学びにつながったりするというニュアンスで用いられます。
映画や文学などの芸術作品に対して使われることが多い表現です。
<例文>
- 今回の企画書は示唆に富む内容だった
- 彼の質問は示唆に富むものだ
- 示唆に富んだ作品はとても楽しい
示唆を与える
「示唆を与える」とは、それとなくヒントを与えるという意味です。
相手に間接的な手がかりを気づかせるという意味で使われます。
<例文>
- 彼の作品は見る人に示唆を与える
- 示唆を与えてくれるセミナーだった
示唆的
「示唆的」とは、何かをほのめかしている様子を意味します。
ネガティブな意味では使われませんが、困惑させる・警戒させるといったニュアンスで使われることもあります。
<例文>
- 言葉はなくとも彼の表情は示唆的だった
- あえて担当にしたのは示唆的なものを感じる
- その示唆的な発言は周囲を困惑させることになる
「ご示唆いただく」は間違い?
「ご示唆いただく」とは、目上の相手からアドバイスをもらったときに、敬意を表す文脈で用いられます。
具体的に何かを教えてもらうときは「ご教示いただく」を使うのが適切です。
ただし絶対に使えない言葉ではないので、「ご示唆いただく」の詳しい使い方を解説します。
目上の人・上司に使う言葉
「ご示唆いただく」は謙譲表現なので、上司や取引先など、目上の相手に用いられます。
相手からアドバイスをもらったときや参考になる意見がほしいときに使いましょう。
「ご示唆いただく」を使った例文は以下のようなものが挙げられます。
<例文>
- ご示唆いただきますよう申し上げます
- ご示唆をいただけますと幸いです
- ご示唆いただきたく存じます
「ご示唆ください」はおすすめしない
「ご示唆ください」は丁寧な表現ですが、冷たい印象を与える可能性があります。
「ご示唆いただきたく存じます」「ご示唆いただけますと幸いです」といった言い回しにすれば、柔らかい印象を与えられるのでおすすめです。
示唆の類語
示唆には、似た意味を持つ言葉が多くあります。
最後に示唆の類語を紹介するので、状況にあわせて適切に使い分けましょう。
暗示(あんじ)
「暗示」とは、手がかりを与えて、それとなく知らせるという意味です。
手がかりそのものを指すこともあり、示唆と同じ意味で使うことができるでしょう。
また、暗示は「感情や考えが間接的な手段で無意識に変化する」という意味も持っています。
「暗示にかける」と表現する場合は「思い込ませる」といったニュアンスになり、示唆とは違った意味になるので注意しましょう。
糸口(いとぐち)
「糸口」とは、きっかけ、手がかりという意味です。
示唆のように、「それとなく知らせる」というニュアンスはありませんが、「ヒントを与える」という意味で言い換えられるでしょう。
「解決の糸口」や「糸口をつかむ」といった使い方をします。
黙示(もくじ)
「黙示」とは、「暗黙のうちに意思や考えを示す」という意味です。
読み方は「もくじ」「もくし」のどちらもできます。
また、キリスト教では「神が人に神意や真理を示すこと」という意味で使われるようです。
示唆の意味を理解して正しく使おう!
示唆は、それとなく示し教えるという意味の言葉です。
直接伝えるのは言いづらいことでも、示唆することで、角を立てずに伝えることができます。
また、目上の人からアドバイスをもらったときや意見がほしいときには「ご示唆いただく」という謙譲表現を使うのがおすすめです。
ビジネスシーンや研究論文などで用いられることが多いので、正しい意味を理解して使いましょう。
- 示唆とは、それとなく示し教えるという意味
- 明言せずに聞き手に推測させるという意味で「示唆する」と使われるのが一般的
- 「ご示唆ください」は、冷たい印象を与える可能性がある
- 示唆の類語には「暗示」「糸口」「黙示」などがある