克己心は座右の銘にもおすすめ!意味・使い方・由来も解説!己の欲に勝つ克己心の養い方とは
「克己心」は日常生活ではあまり聞き慣れない言葉ですが、スポーツ選手の名言集や自己啓発本などで、たまに見かける表現です。
克己心とはどのような心で、どのような人物が持っているのでしょうか。
この記事では、言葉の意味や使い方、由来を解説するとともに、克己心が強い人の特徴や、己の欲に勝つ強い精神を養う方法を紹介しています。
克己心とは?
「克己心」の読み方は「こっきしん」です。
「己(おのれ)」に「克つ(かつ)」ことなので「自分に勝つことでは」と、なんとなく推測はつくかもしれませんが、実際にどのようなシーンで使われる言葉なのでしょうか。
はじめに「克己心」の言葉の意味や使い方と言葉の由来、言い換え表現などについて解説します。
意味は「自分の欲に打ち勝つ心」
「克己心」の言葉の意味は「自分の欲に打ち勝つ心」。
「己」は自分自身のことで、この場合は欲望や感情など、克服するべき自分の弱い部分を意味しています。
そして「克」とは「何かに勝負して打ち勝つこと」または「努力して欲望等を抑えること」の意味を持つ言葉です。=
つまり「克己心」とは、欲望や甘えなどの自分の弱さに打ち勝ち、自分をコントロールして目標を達成することができるような、強い精神力のことを表しています。
使い方と例文
- 克己心が強い
例文)受験勉強中に友人から誘われると遊びたくなることもあったのですが、彼は克己心が強いので勉強に集中しました。
- 克己心を鍛える
例文)ダイエットをしてもいつも途中で挫折してしまうので、克己心を鍛えて今度こそ最後までやり遂げようと思う。
- 克己心がない
例文)彼女は親から甘やかされて育ったために克己心がなく、嫌なことがあるとすぐに逃げ出そうとする傾向がある。
由来は「孔子の論語」
「克己心」の言葉の由来は、古代中国の思想家「孔子」の弟子たちによって孔子の言行が記された「論語」です。
「論語」の顔淵(がんえん)篇には「己の欲望に打ち勝って、礼儀を守る」という意味の「克己復礼(こっきふくれい)」という一節があります。
現在使われている「克己心」という言葉は、この「克己復礼」の「克己」が語源だと考えられています。
英語では「self-control」
「克己心」を英語で表現するなら、自分の言動や感情などを抑制するという意味の「self-control(セルフ・コントロール)」が該当します。
「self」は自分自身で「control」は抑制することなので「克己」と同じ意味になり、日本でもなじみのある言葉なので分かりやすいですよね。
克己心の「心」を強調するために、精神を意味するspiritをつけて「self-control spirit」と言う言い方もできます。
克己心の類語と対義語
克己心と意味が似ている類語には「自制心」「理性」などがあります。
「自制心」とは自分の感情や欲望を抑える、冷静な心のことで、「理性」は道理に従って正しく善悪を判断する、知的な能力のことです。
克己心の対義語には「放埒(ほうらつ)」「放縦(ほうじゅう)」などがありますが、どちらも、決まりごとを気にせずにきままに行動する様子を表しています。
放埒や放縦は、克己心とは異なり「放埒心」「放縦心」のように「心」をつける使い方はありません。
克己心が強い人の特徴
克己心が強い人は、自分自身の弱さをコントロールして、目標を達成するまで頑張り続けることができる強い意思の持ち主です。
スポーツの世界やビジネスシーンなどのあらゆる分野において、克己心は自分の願望を形にするために必要なマインドと言えるでしょう。
次は男性女性を問わず、強い克己心を持つ人とはどのような人物なのかを紹介します。
規則正しい生活を送っている
克己心が強い人は、起きる時間や寝る時間、日課などの毎日のルーティンが決まっているため、毎日規則正しい生活を送っています。
何かの事情で夜ふかしをしてしまうことがあっても、次の日はいつもと同じ時間に起きたりうまく調整したりするので、1日を無駄に過ごすことはないでしょう。
また目標を達成するために、毎日こなす課題や行動予定を事前に設定していて、サボりたい気持ちや誘惑があっても、強い意思を貫いて実行します。
行動力がある
克己心がない人は、目標があっても「いつか、やろう」「都合が良くなったらやればいい」などと考えるだけで、なかなか行動にうつすことができません。
しかし克己心の強い人は、思いついたら即行動する行動力があり、すぐに手を付けるのは難しそうなことでも、ためらうことなく実行に移す度胸とスピード感があります。
もし今が最適なタイミングでないなら、今できることを考えたり、目標達成までの下準備を行ったりして、迷ったり立ち止まったりしているだけの時間は作らないでしょう。
野心家で向上心が高い
自分をもっと上の次元に高めたいと思う野心と人よりも高い向上心は、克己心が強い人のモチベーションになっています。
他の人なら諦めるような実現しなさそうな目標や、みんなが驚くような大きな成功を収めたいと強く願っているので、自分の弱さに打ち勝つことができるのです。
今の自分に満足することがなく、さらに上を目指し続けているため、1つの目標を達成してもすぐに次の目標を設定して、常に前進を続けるでしょう。
目標を達成するために努力する
克己心の強い人は、目標を達成するため自分の最大限の努力を重ねて、成功を手に入れています。
対外的には「たまたまラッキーだっただけ」「みんなのおかげ」と言うこともありますが、現実は自分の努力と意志の力によって、目標を達成しているのです。
また、やみくもに頑張るだけでなく、目標達成までの行程を冷静に分析しているので、自分が果たすべきテーマを的確に把握して着実に努力を重ねます。
我慢強く少しのことでは諦めない
多くの人は、目標を掲げてもさまざまな挫折や誘惑があると諦めてしまうのですが、克己心が強い人は我慢強くて、少しのことでは諦めません。
何か障害が起こっても「自分が決めたゴールに至るまでは、この程度のことが起きて当然だろう」と気持ちを切り替え、再び先に進むことができます。
自分を信じて最後までやり遂げようとする強い意思や、ポジティブな発想を持っているので、始めたことを簡単には投げ出さないで、最後までやり抜くでしょう。
克己心を養う方法
目標を立てても、誘惑や感情に流されやすいため長続きしないと悩んでいる人でも、ライフスタイルや考え方を転換することにより、克己心を養うことができます。
強い自分を手に入れたら、これからの人生のさまざまな岐路において、後悔のない一生を送れるようになるでしょう。
最後に、克己心を養って、自分自身の弱さを克服する方法を紹介します。
毎日しっかりと睡眠をとる
現代人は忙しくて睡眠不足になりがちですが、克己心を養うためには毎日しっかりと睡眠をとることが不可欠です。
睡眠不足が続いた時を思い出すと分かるかもしれませんが、睡眠が足りない時は頭が働かなくなるので理性が働きません。
睡眠が足りない人の脳は軽い酩酊状態になっているので、誘惑やストレスに対して耐性がなくなるという説もあります。
「やらなくてはならないことがあるから」と無理して睡眠を削るより、十分な睡眠をとって体調を整えてから挑んだ方が克己心を持てるでしょう。
ありのままの自分も受け入れる
理想の自分と自分の現状とのギャップに悩むこともありますが、克己心を養う第一歩は、ありのままの自分を否定しないで受け入れることです。
なぜなら、欲望を持った理由や自分の弱さを本当に理解していなければ、自分の欲を表面上は克服したつもりでも、再び同じ過ちを繰り返すことになるからです。
「弱いところも負けることもある」自分をまず受け入れ、目標を達成するにはそこからどう進めば良いのかを考えることにより、強い克己心を育てることができるでしょう。
時には自分を許す
克己心を養いたいと願っている人は、ひたすら自分に厳しい完璧主義の人が多いかもしれませんが、時には自分を許す柔軟性も大切です。
ストイックな人は何事も完璧に行わないと気が済まないので、何か1つでもミスが起きると精神的に大きなダメージを受けて、その先に進めなくなるおそれがあります。
ある程度の失敗は受け入れて、そこからリカバリーできるおおらかさを身につければ、挫折しないで最後まで走り続けたり、さらに大きく飛躍したりできるようになるでしょう。
頑張っている理由を忘れない
目標に向けて活動する期間が続くと、最初の新鮮な気持ちが消えてしまって当初の目的を忘れることがあります。
例えば「ダイエットのためにジムに通う」と思って運動を始めたのに「ジムの後はビールがおいしい」と余計に飲むようになって、結局太ってしまったというケース。
行動することだけが習慣化して、頑張っている理由を忘れてしまったら、元も子もありません。
本当に手に入れたいものは何なのか常に意識して克己心を養い、いつも正しい選択ができるような判断力を失わないようにしましょう。
目標を達成したときの姿を思い浮かべる
努力することに疲れて全てを投げ出したくなったら、目標を達成したときの自分の姿を脳裏に思い浮かべて、克己心を蘇らせましょう。
そのとき自分はどんな場所に誰と一緒にいて、何を着ていて、周りに何が見えているのかなど、できるだけ具体的なイメージを持つと、さらに効果的です。
今はただ辛いとしか思えないことがあっても、達成した後に手に入る成功の喜びを疑似体験すれば、やる気を起こして再び取り組むことができる元気が出るでしょう。
数分でも体を動かす
誘惑に負けない克己心を養うために、脳の中で自制心を司る「前頭前皮質」の働きを良くすることが効果的であることが報告されています。
前頭前皮質の機能は、ランニングやストレッチなどの体を動かすことで効果的が得られます。
長時間のエクササイズは必要なく、1日数分程度でも毎日散歩や家事などでも大丈夫です。
毎日必ず体を動かす習慣をつければ、前頭前皮質を活性化させて克己心を鍛えることができるでしょう。
1日5分瞑想をする
スポーツ選手が集中力を高めて最高のパフォーマンスをするために、試合前に瞑想をすることがありますが、瞑想は克己心を養うのにも役立ちます。
瞑想をすると気持ちが落ち着き、感情のコントロール力が高まるため、克己力が強くなるのです。
やり方は簡単で、落ち着ける場所でリラックスしながら目を閉じ、呼吸に集中します。
何か頭に浮かんだら「考えている自分」に意識を向け、再び呼吸に意識を戻すことを繰り返しましょう。
最初は1日5分でも良いので、瞑想の時間を作って自分自身と向き合ってみましょう。
克己心は座右の銘にもおすすめ!克己心を養って強い自分になろう!
克己心(こっきしん)とは、自分自身の欲に打ち勝って目標を達成する強い精神力のことで、座右の銘にもおすすめの言葉です。
克己心が強い人は、野心家で行動力があり、願望を叶えるために毎日のルーティンを守って生活し、自分の弱点をコントロールすることができます。
自分の欲に勝つマインドを育てるには、モチベーションを維持しつつ柔軟性のある考え方、ポジティブなイメージを持つことで、運動や瞑想を利用する方法もおすすめです。
克己心を養って強い自分になれたら、理想を叶えて悔いのない人生を送れるようになるでしょう。
- 克己心とは己の欲に打ち勝つ精神のこと
- 克己心が強い人は成功を手にするために、自分の弱さを抑えて必要な行動を実践することができる
- 考え方やライフスタイルの変化に取り組めば、強いメンタルを育てられようになる
- 自分の夢を阻んでいる自分自身の弱さに打ち勝つため、克己心を養おう