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忌憚の意味・使い方・読み方とは?例文やビジネスで使う時の注意点も解説

定義
この記事は約 10 分で読めます。

「忌憚のない意見」など、ビジネスシーンでよく使われる「忌憚」の、正しい意味や使い方を理解していますか?

読み方や使用するシーンなど、改めて考えるとちょっと難しい言葉ですよね。

この記事では、忌憚の正しい意味と類語、使い方を例文付きで解説するとともに、ビジネスで使う場合の注意点を紹介しています

 

忌憚の意味や読み方とは

忌憚の読み方は「きたん」です。

「忌」と「憚」は、どちらも避けること、遠慮することですが、忌憚だけで使う場合は、嫌がったり遠慮したりすることを意味します。

しかし忌憚という言葉は「忌憚のない」「忌憚なく」など、打ち消す言葉を付けて使われるのが一般的です。

「忌憚のない」とは「嫌がることや遠慮することをしない」こと、つまり「気兼ねしても遠慮しないで実行する」こと。

相手に対して「気兼ねしないで遠慮なく」という気持ちを表す表現です。

 

忌憚の語源とは

忌憚の「忌」(き)とは、憎んだり嫌がったりして避けることを意味する漢字で、死を意味する場合もあります

そして「憚」(たん)は、恐れて慎むこと、遠慮することで、病気や疲れを意味する場合もある漢字です。

これらの2字を使っている「忌憚」の語源は、ネガティブな2つの字を合わせることによって「避けたい」「遠慮したい」ことであるという気持ちを強調している表現です。

 

忌憚と遠慮の違いとは

忌憚と意味が似ている「遠慮」は、言動を控えたり状況に合わせて辞退したりすること。

忌憚と遠慮の違いは、忌憚は「忌憚のない」のように、打ち消す形で使用するのが一般的ですが、遠慮は単独でも使用できるという点です

遠慮は「遠慮なく」のように打ち消す形でも使える他、単独でも使えます。

また、忌避は「嫌がって避ける」という否定的なニュアンスを持つ表現なのに対し、遠慮は「自らの意思で控える」という能動的なイメージの言葉です。

 

忌憚の類語・言い換え表現

「忌憚なく」「忌憚のない」を使うと違和感があるシーンや、文章のイメージを変えるために、他の言葉で言い換えることもあります。

続いては、忌憚の類語・言い換え表現を紹介しましょう。

 

率直に

「率直」は遠慮をしない様子や、ありのままで隠さないさまを意味し「忌憚のない」の言い換え表現として使える言葉です。

「率直に意見交換をしましょう」のように、後の動詞に意味を加える場合は「率直」の後に「に」を付けて「率直に」にします。

「率直なコメント」のように、後ろに名詞が来る場合は「率直」のあとに「な」を付けて「率直な◯◯」という形で使われます。

 

遠慮なく

言動を控える意味の「遠慮」を打ち消す形の「遠慮なく」は「どうか気遣いはしないで下さい」という気持ちを表す表現です。

「忌憚ない」よりも親しみやすい言葉で、ビジネスシーンだけでなく日常会話でもよく使われています。

「遠慮なくお問い合わせ下さい」や「遠慮なく電話して下さい」のように、付け加えることによって相手とのコミュニケーションを、より円滑にする効果がある言葉です。

 

気兼ねなく

「気兼ねなく」は、他人を気遣い遠慮することを意味する「気兼ね」を打ち消して「遠慮しないで」「気軽に」といった意味を持つ言葉です

「忌憚ない」を使うと堅苦しくなるシーンで使われ、ビジネスシーンだけでなく日常会話にもよく登場します。

「気兼ねなくお申し付け下さい」のように「気兼ね」の後に「なく」を付けたり「どうぞお気兼ねなく」のように「気兼ね」に丁寧語の「お」を付けたりして使われています。

 

ざっくばらんに

「ざっくばらん」は、遠慮がなくて素直な様子や、もったいぶったところがないさまを表す言葉です。

「ざっくばらんに」は「忌憚なく」と同じように「遠慮しないで」という意味の表現で、よりカジュアルな印象の言葉で口語として使われることが多いでしょう。

「ざっくばらんに語り合いましょう」のように動詞を形容する場合と「ざっくばらんな人柄」のように後ろの名詞を表現するのに使われます。

 

腹を割って

「腹を割って」は、遠慮することなく本音で話すこと、隠すことなく正直な気持ちをさらけ出すことを表す「腹を割る」を使った表現です。

「腹を割って話しましょう」のように「話」や「話す」を付けて使われることが多く「遠慮をしていない本音」を期待する気持ちを表す言葉です。

「忌憚ない」よりもカジュアルな印象の言葉で、主に会話で使われることが多いでしょう。

 

忌憚の正しい使い方【例文付き】

ビジネスの場で「忌憚」を使うと、相手のより率直な話を引き出したり、その場にいる人に話をしやすい雰囲気だと安心感を与えたりする効果があります。

正しい使い方をマスターして、うまく会話や文章に活かせるようにしましょう。

次は、忌憚の正しい使い方を例文とともに紹介します。

 

率直な意見や感想を聞きたい時

「忌憚のない」または「忌憚なき」などは、ミーティングや面談で相手の意見を求める時や、顧客へのアンケートなどでよく使われます。

単なる「意見」や「感想」に「忌憚のない」を加えることで、社交辞令ではなく、より率直な意見や感想を遠慮なく聞かせて欲しいという意思表示ができます。

例文

  • 本プロジェクトの実施にあたり、忌憚のない意見をお聞かせ下さい。
  • 実際に使用されたお客様の忌憚なきご感想をお待ちしています。

 

遠慮なく発言できる雰囲気を伝える時

大勢の人が意見を交わす席や、目上の人が目下の人に話を聞く場合に、遠慮することなく本音の発言をしても良い雰囲気だと伝えるために「忌憚ない」や「忌憚なく」を使うこともあります。

例文

  • この意見交換会では、参加者全員による忌憚のない発言を期待しています。
  • 実際にこの仕事に携わった皆さんから、忌憚ない意見を聞かせて欲しい。

 

余計な気遣いは必要ないと伝えたい時

取引先や顧客などに対し「余計な気遣いは必要ないので、これからも気軽に接して下さい」というニュアンスを伝えるために「忌憚なく」を使う場合もあるでしょう。

ビジネスの場で、顧客と話をした後やサービスや商品の説明の後などに使われます。

例文

  • ご不明な点があれば、忌憚なくお電話下さい。
  • 使いにくい箇所がございましたら、忌憚のないご意見をお聞かせ下さい。

 

メールなどの結びの言葉として使う

「忌憚」を、メールやビジネスレターの結びの言葉として使う場合もあります。

「忌憚なきご意見」「忌憚のないご感想」のような、相手を敬う意味をこめた丁寧な言い方をしましょう。

例文

  • 忌憚なきご感想を賜りたく。
  • いつもお引き立て頂いております◯◯部長の、忌憚のないご意見をお聞かせ頂けると幸いです。

 

忌憚は目上の人に使える?

目上の人に対して「忌憚なく」を使うのは、避けた方がいいでしょう。

「忌憚なく」とは「余計な気遣いは不要ですから正直に」という意味なので、本来気を遣う必要がないはずの目上の人に対して「忌憚なく」と言うのは、失礼に当たります

「忌憚ない」は、目上の人が目下の人に話を聞いたり、対等な立場の人たちが意見を交わしたりする意味の言葉なので、敬語表現ではありません。

目上の人には「お気遣いなくおっしゃって下さい」「恐縮ですがご意見をお聞かせ下さい」といった、丁寧な言い方をしましょう。

 

忌憚をビジネスで使う時の注意点

ビジネスシーンでよく使われる「忌憚」ですが、文字通り「忌憚のない」話をするだけではなく、ビジネスパーソンとしてある程度の気遣いを心がけましょう。

最後は、ビジネスで忌憚を使う時の注意点を紹介します。

 

顧客に対する時は丁寧な言い方を心がける

顧客とのミーティングなどで「忌憚のない意見交流をしましょう」と言われた場合でも、相手を気遣って丁寧な言い方を心がけましょう。

忌憚のない話は、時には耳の痛い話や失礼な話題になることもあるため、ストレートに話すだけでは、相手が気分を害してしまう恐れがあります。

「誠に恐縮なのですが」「これは、あくまでも私の個人的な見解です」などのクッション言葉をはさむことにより、全体のトーンを和らげましょう。

 

「忌憚ない意見」を求められても配慮は必要

「忌憚ない意見を聞きたい」と言われたシーンでも、相手を傷つけるような言い方をしたり、立場を越えるような発言をしたりするのはNGです

これからの関係性を悪くしないためには、ある程度の配慮を心がけて下さい。

相手の話を全否定して全く受け入れない立場を貫いたり、相手を敬うことなく上から目線な態度を取ったりすると、たとえ正論でも相手は気を悪くするものです。

相手の話を受け入れてリスペクトしつつ、自分の率直な意見も伝えて、お互いがポジティブな雰囲気になれるよう気を付けましょう。

 

「忌憚ない意見」を聞いたら感謝の気持ちを伝える

顧客や取引先からの「忌憚のない意見」を聞いたら、まずは感謝の気持ちを伝えましょう。

遠慮なく素直な意見を知らせてくれたことは、相手にとって勇気がいることだったかもしれませんし、こちらが気づかなかったことを知らせてくれた、貴重な情報です。

お礼を言う際は「忌憚」を使うのではなく「貴重なご意見を頂き誠にありがとうございます」「率直なご感想に感謝致します」などの丁寧な言い方で、相手を敬う気持ちを伝えましょう。

 

「忌憚ない」はビジネスシーンでよく使われる表現!正しい使い方をマスターしよう

忌憚(きたん)とは嫌がったり避けたりすることで「忌憚なく」と打ち消した場合は「気兼ねなく遠慮しないで」という意味。

「率直に」「遠慮なく」などの類語と言い換えることもできます。

相手の率直な意見を聞き出したり、自由に本音を話しても良いことを伝えたりするのに使う言葉ですが、敬語表現ではないので、目上の人には使わない方が良いでしょう。

「忌憚のない」を使う場合は、クッション言葉を使ったり相手の気持ちを思いやったりする気遣いも忘れないようにしたいもの。

「忌憚ない」の正しい使い方をマスターして、ビジネスシーンのコミュニケーションに活かしましょう。

 

まとめ
  • 忌憚(きたん)は嫌がることで「忌憚なく」は「気兼ねなく遠慮しないで」を意味する
  • 「率直に」「遠慮なく」などと言い換えることもできる
  • 率直な意見や本音の話などを聞いたり話し合ったりする時などに、使われる
  • 目上の人に使うのはNGで、忌憚ない話をする時でも相手への配慮は必要
  • ビジネスシーンの正しい「忌憚」の使い方をマスターしよう

 

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