「お大事になさってください」は正しい敬語?使い方や意味、例文を解説!
日常生活やビジネスの場で「敬語」は重要な役割を果たしています。
人間関係を円滑にするためにも、正しく敬語を使う方法を身に着けておいて損はないでしょう。
この記事では相手をいたわるときに使われる「お大事になさってください」の意味や正しい使い方について解説していきます。
Contents
「お大事に」の意味とは?
体調を崩した相手などにしばしば使われる「お大事に」という言い回しですが、これは「お大事にしてください」を略したものです。
ゆえに、友人同士や同僚間で「お大事に」と声をかけるのは問題ありません。
ただし、相手が目上の人や付き合いの深くない間柄の場合は略さず使ったほうが良いでしょう。
お大事にの敬語表現は「お大事になさってください」
では、目上の相手の体調をいたわるときはどのような伝え方がよいのでしょうか。
この場合、「お大事にしてください」をより丁寧に言い換えた日本語である「お大事になさってください」がもっとも適切でしょう。
労わりの気持ちをより強調したいなら、「何卒」「くれぐれも」や「どうぞ」を頭に付けるのがおすすめです。
「お大事にしてください」は敬語表現?
「お大事にしてください」は丁寧語ではありますが、尊敬の意は含まれていません。
また「してください」という言い回しは、少々上から目線にも感じられるため、目上の相手や取引先相手に使うのは適当ではないでしょう。
通常は、目上の相手には尊敬語である「お大事になさってください」を使用するのがベターです。
「お大事になさってください」の使い方や例文
続いて、「お大事になさってください」の使い方を、具体的な例文とともに見ていきましょう。
体調を崩している相手に使う場合
「お大事になさってください」が不可欠なシチュエーションといえば、誰かが体調を崩したときでしょう。
- 一日も早いご回復をお祈りしております。どうぞお大事になさってください。
- 季節の変わり目ですが、無理せずくれぐれもお大事になさってください。
風邪や怪我など、突発的に体調を崩した相手には休養に専念できるよう「お大事になさってください」の声掛けが効果的です。
また、高齢の知り合いの体調などを労う意味でも「お大事になさってください」を使うことは可能です。
上司や目上の人の家族に使う場合
本人ではなく、上司や目上の人の「家族」の体調不良や怪我を気遣う場合も「お大事になさってください」を使うのが適切です。
- お父様のご様子はいかがでしょうか。どうぞお大事になさってくださいとお伝えいただければ幸いです。
- 奥様が退院されたと伺いました。くれぐれもお大事になさってくださいとお伝えください。課長もご無理なさらず、ご自愛ください。
本人に伝える場合は「お大事になさってください」そのままでOKですが、相手の家族をいたわるのなら「お伝えください」と伝達の意を添えるのがベターです。
また、体調不良の家族がいる本人も疲れていることは間違いないため、本人へのねぎらいの一言を付け加えればよりいたわりの気持ちが伝わるでしょう。
ビジネスシーンで使う場合
体調を崩した取引先相手や病気で欠席した上司への挨拶など、「お大事になさってください」はビジネスシーンで使うことも多いです。
お休みのところ失礼いたします。その後体調のほうはいかがでしょうか。
(仕事の進捗状況などの報告)
今はご静養を優先して、くれぐれもお大事になさってください。
社内の人や取引先相手の場合は、お互いの仕事の進捗など気になる部分もあるでしょう。
相手が気兼ねなく休めるよう、文末や会話の締めくくりで「お大事になさってください」としっかり伝えることをおすすめします。
「お大事になさってください」の言い換え表現と例文
相手をいたわる文言には「お大事になさってください」以外にもさまざまなものがあります。
ここでは、「お大事になさってください」の類義語による言い換え表現と例文を見ていきましょう。
ご自愛ください
「ご自愛ください」は自分の体をいたわることを促す表現です。
健康に気を付けて元気でいてくださいね、といった気持ちを表す言葉なので、ビジネスシーンでもしばしば結びの定番挨拶として使用されます。
体に気を付けるという意味合いなので、現在体調を崩している人や療養中の人には使いません。
また、「ご自愛」のなかに「体」の意味がすでに含まれています。
「お体ご自愛ください」という言い方は不適当になるため注意しましょう。
【例文】
- (※転職する相手への挨拶として)これから寒さ厳しい季節になりますが、どうぞお体ご自愛ください。
- 繁忙期で大変かと思いますが、お風邪などひかれませんようくれぐれもご自愛ください。
お労りください
「お労りください」はあなたの体を労わってください、休んでくださいといったニュアンスの強い言い回しです。
体調を崩した人はもちろん、忙しい人や大きなプロジェクトを終えて休みに入る人などに向けて使うことができます。
【例文】
- このたびのプロジェクトでは大変お世話になりました。今後はぜひお体をお労りください。
- お休みだと伺いました。どうぞご無理なさらずくれぐれもお労りくださいね。
養生なさってください
「養生なさってください」は体調を崩した相手への休養や回復を願う言葉です。
基本的には入院する人など、しばらく回復に時間が必要な相手に使われます。
【例文】
- しばらく入院されるとのことですが、こちらのことは気にせず養生なさってください。
- 体調が回復されるまで、しっかり養生なさってください。
静養なさってください
「静養なさってください」は「養生なさってください」とほぼ同じ意味で使われる類語表現です。
ただし「静養」のほうが健康維持のために休むというニュアンスが強いです。
【例文】
- ご無理なさらず、しばらく静養なさってください。
- 骨折が回復するよう、ゆっくりと静養なさってくださいね。
お体にお気をつけください
「お体にお気をつけください」は現在健康な人をいたわるときの言葉です。
そのため、体調を崩した相手や入院中の人には使いません。
「お体にお気をつけください」は、「お大事になさってください」よりもカジュアルな言い回しであり、より口語的な表現なので、文面よりは対面や電話、また親しい相手に伝えるのに適しています。
【例文】
- 風邪が流行っていますが、どうぞお体にお気を付けくださいね。
- (※年賀状などで)今年もお体にお気をつけて、素敵な1年をお過ごしください。
- (※妊娠中の相手に)予定日も近いとのことですので、くれぐれもお体にお気をつけください。無事のご出産をお祈りしております。
「お大事になさってください」の返事例
では、自分が「お大事になさってください」と言われたときはどう返答すればいいのでしょうか。
労わってくれた相手に対しては、なによりその気遣いへの感謝を伝えることが大事です。
「お大事に」と言われて返事に困ったときは、以下の例文をぜひ参考にしてみてくださいね。
【例文】
- お気遣いいただきありがとうございます。回復に努めますのでその際はまたよろしくお願いいたします。
- 日程の変更など、お心遣いありがとうございます。お言葉に甘えてゆっくり休ませていただきます。
- 温かいお言葉ありがとうございます。長期間ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
相手に失礼がないよう、正しい言葉を身につけよう!
体調の悪い人や怪我をした人がいたら、適切な言葉でいたわることが大切です。
「お大事に」はもっとも手軽で便利な表現ですが、目上の方や近しくない相手には敬語表現である「お大事になさってください」を使うのが無難です。
また、相手の状況や都合に合わせて、類似表現である「ご自愛ください」「お体にお気をつけください」などを使い分けるのも良いでしょう。
正しい言葉遣いを身に着ければ、日々の生活やビジネスシーンでもきっと役立てることができるはずです。
- 「お大事になさってください」は「お大事にしてください」を敬語表現したもの
- 「お大事になさってください」は、体調を崩した相手や目上の人の家族・ビジネスシーンなど使える範囲は幅広い
- 「お大事にしてください」の言い換え表現には「ご自愛ください」「養生なさってください」などがある
- 適切な言葉遣いで相手の体調をいたわることが大事!