弊社とはどんな意味？当社との違いや使い方を例文付きで解説

「弊社」や「当社」など、ビジネスシーンには自分の会社のことを指す、決まった言葉があります。

それぞれの意味を理解して、相手に失礼のない日本語を使いたいですよね。

「弊社」とはどんな意味で「当社」とはどう違うのでしょうか。

この記事では「弊社」の意味や「当社」との使い分け方を解説、さらに弊社の類語や使い方を例文付きで紹介していきます。

「弊社」の意味とは

「弊社」という呼び方は、日常会話では使われないビジネス用語です。

社会人になって、はじめて知った方も多いかと思いますが、なぜそのような呼び方をするのでしょうか。

まず「弊社」の意味と「弊社」を使う時の注意点を解説します。

自分が所属する会社

「弊社」は、顧客や取引先など社外に対する言い方で、自分が所属する会社や企業のことを意味する表現です。

会社などの団体の一員としてやり取りする場合、個人間と違い「私は」や「◯◯さんの」という言い方ではなく「弊社は」「弊社の」と言うのがビジネスマナーです。

もし「私は」や「◯◯さんが」と言ってしまうと、会社としての発言ではなく、個人に限定した話という意味になってしまいます。

逆に、面接のような個人としてやり取りをするシーンで、自分のことを「弊社」と言うのは間違いです。

社外の人に対する謙譲語

「弊社」は、自分が所属する会社や企業のことを控えめに表現することにより、相手の方が上の立場であることを示す謙譲語です。

「弊社」の「弊」は、相手にへりくだる意味を持つ文字で「弊店(自分の店)」「弊誌(自分の会社の雑誌)」のような使い方もあります。

「弊社」は顧客や取引先など社外の人に対して使う言葉なので、どんな状況でも社内の人に対しては「弊社」は使いません。

相手の会社に対しては「御社」「貴社」などの敬語を使います。

「弊社」「当社」の違いや使い分け

「弊社」と似た言葉で、自分の会社のことを指す言葉に「当社」がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

正しく使い分けるために、意味の違いを理解しましょう。

続いては「弊社」と「当社」の違いと、使い分け方を紹介します。

「当社」は対等な相手に対して使う

「当社」は対等な相手に対して使う表現で、自分が所属する会社や企業のことを丁寧に言う呼び方です。

「弊社」との違いは「弊社」にはへりくだる意味がありますが「当社」は相手に対して謙遜する意味を持ちません。

「弊社」は社外の人だけにしか使えない言葉ですが「当社」の方は相手にへりくだる意味を持たず、社内に対しても使える言葉です。

社内でのプレゼンやミーティングなどで、自分の会社の話をする場合には「弊社」ではなく「当社」を使いましょう。

自分の会社をアピールしたい時は「当社」

自分の会社や製品などをアピールしたい時には、社外に対しても「当社」を使うことがあります。

自分の会社を印象付けたい時は、へりくだった「弊社」よりも「当社のサービスは」「当社の新製品は」のような、強調表現が適しています。

ホームページやカタログなどで、企業理念や自社の特性などをアピールをする場合も「弊社」ではなく「当社」を使うのが一般的です。

また、クレーム対応のようなシーンでは「当社といたしましては」のように、相手と対等な立場にあることを表現します。

取引先や顧客とのメールは「弊社」

「弊社」も「当社」も、ビジネスメールで使える表現ですが、取引先や顧客などに送る場合は自分を控えめにして相手を立てる意味の「弊社」を使います。

「当社」は、相手にへりくだるニュアンスがないため、社内向けのメールや報告書、社外の人に自分の会社やサービス、商品などをアピールする場合です。

「弊社」と書くべきところを「当社」としてしまうと、フランクな表現になって、相手に失礼な印象を与える恐れがあります。

その他の「弊社」の類語

自分が所属している会社のことを表す言い方は「弊社」「当社」の他にも、さまざまな呼び方があります。

それぞれの意味や特性を理解して、ボキャブラリーを増やしましょう。

次は「弊社」の類語・言い換え表現を紹介します。

小社

「小社(しょうしゃ)」とは「弊社」と同じように、自分が所属している会社のことをへりくだり「小さい」会社だと表現する言葉です。

取引先や顧客などの、社外の人を対象とした謙譲語で、社内の人に対しては使いません。

言葉の響きだけでは「商社」などの似た言葉が多く分かりにくいため、対面や電話でのやり取りではあまり使うことはなく、主に書き言葉として使われています。

自社

「自社(じしゃ)」は、単純に自分の会社のことを意味する、シンプルな表現です。

「弊社」のように相手にへりくだる意味もありませんし「当社」のように丁寧な印象がない表現なので、話し手の上下関係を気にする必要がないシーンで使われる言葉です。

「自社株」「自社製品」など、自分の会社のものであることを表現する際に使うこともあります。

「自社」の対義語は「他社」で「自分の会社以外の会社」という意味になります。

我が社

「我が社(わがしゃ)」は、自分が所属する会社のことを「私の」という意味の「我が」と表現した、口語的な呼び方です。

社内での通達やプレゼンなど、主に口頭でのやり取りで使われる言葉で、ビジネスメールや報告書などの正式な書面ではあまり使われません。

「我が社」は「弊社」のように相手に対してへりくだる意味がなく「当社」のように丁寧な言葉でもないので、社内のみで使われる表現です。

私ども

「私ども(わたくしども)」は、自分も含めた複数の人がいる集団のことを、へりくだって言う表現です。

会社や企業だけでなく、自分の家族や所属するあらゆる集団にも使える言葉で、自分たちを控えめにして相手を敬うニュアンスがあります。

「弊社」「当社」よりも柔らかい響きの言葉ですので、接客や営業トーク、電話応対など口頭でのやり取りで「私ども」を使うと、聞き手に優しい印象を与えられるでしょう。

当方

「当方(とうほう)」とは「こちら」のことで、相手企業に対して自分が所属する会社や企業を意味する表現です。

「弊社」と同じように、他社にだけ使える表現で、自社では使えません。

また「当方」は、担当者や担当部署を明確に指定していないため、契約書など正式な文章には使えない表現で、口頭でのやり取りや担当者間のメールなどで使われます。

「当方」とは団体を指す言葉なので、個人が自分のことを「当方」という言い方は、ビジネスマナーでは間違いです。

【例文付き】「弊社」の使い方

毎日の業務の中で、社外とやり取りをするシーンでは「弊社」を使う機会がたくさんあります。

最後は「弊社」の正しい使い方を、例文付きで紹介します。

顧客・取引先宛の挨拶

顧客・取引先宛のメールや書簡の最初には「弊社」を使った挨拶文を入れます。

宛先が担当者など個人名の場合でも、会社同士としてのやり取りには必ず「弊社」を使うのがビジネスマナーです。

対面や電話応対の場合でも同じように「弊社」を使って、へりくだるニュアンスを加えましょう。

自社のスタッフや連絡先を知らせる

他社の人や取引先の相手に、自分の会社のスタッフや担当部署名、連絡先などを知らせる場合には「弊社」を使います。

ビジネスメールだけでなく、手紙や対面、電話でのやり取りでも使える表現です。

会社を代表しての謝罪や感謝

顧客や取引先に、会社としての謝罪や感謝を伝える場合には「弊社」を使って、情報の発信源が個人ではなく、会社を代表していることを伝えます。

会社として正式な報告

他社に対して、担当者間レベルの話ではなく、会社としての正式な表明をする場合には「弊社」を使います。

弊社は他社に対する謙譲語！当社との使い分けを理解して正しく使おう

「弊社」とは、他社に対し自分が所属する会社や企業のことを言う表現で、自分をへりくだって相手を敬う気持ちを表す謙譲語です。

個人としてのやり取りや、自社内では使えません。

「当社」は自分の会社のことを丁寧に言う表現で、謙遜する意味がないため、顧客や取引先に対しては「弊社」が適しています。

自分の会社を表す言い方は「小社」「自社」などいろいろな表現がありますので、それぞれの特徴を理解しましょう。

「弊社」は、ビジネスメールの挨拶や、会社としての紹介、謝罪やお礼、正式なコメントなど、いろいろな場面で使用されています。

意味や使い方を理解して、正しい使い方をマスターしましょう。