「先方」とは?社会人なら押さえておきたい正しい意味や注意点を解説

「先方(せんぽう)」という用語は、ビジネスシーンでしばしば耳にする言葉です。
取引先などの第三者を示すのに使われることが多く、社内メールや公の場でも頻出することから、社会人として押さえておきたい言葉の1つだといえるでしょう。
今回の記事では「先方」の正しい意味や使い方、使うときの注意点について詳しく解説していきます。
Contents
「先方」とは
まずは「先方」の読み方や意味について、今一度確認しておきましょう。
「先方」の読み方
先方には「せんぽう」「さきかた」「さきがた」の読み方があります。
「せんぽう」と「さきかた」は同じ意味であり、主に相手のことを指し示すときに使われます。
一方「さきがた」と読む場合は意味が変わり、少し前の時間、つまり「さっき」や「先ほど」を表すため注意が必要です。
「先方(せんぽう)」の意味
この記事では「先方(せんぽう)」について扱うので、より詳しい意味について見ていきましょう。
先方とは、「相手方」「相手の人」という意味で、ここにはいない第三者を指し示すときに使う言葉です。
ビジネスシーンでは、第三者的立場の顧客や取引先などを表すときに使われることが多く、敬語的な意味合いが含まれます。
ただ、口頭ではなくメールなどで使う場合は「さきがた」との区別がつきづらいため、時間的に前であることの意味で使う場合は、「先ほど」などに書き換えたほうがベターです。
【例文付き】「先方」の使い方
ビジネスシーンにおいて「先方」は、その場にいない取引先や社外の相手を指し示すときに使います。
ここでは、「先方」のより具体的な使い方を、例文とともに見ていきましょう。
- 先方のご意向も確認次第、またご連絡いたします
自分と相手、さらにここにはいない第三者が関わっている話題の場合、その第三者を示すのに「先方」が使われます。
敬語的な意味合いが含まれているので、取引先や顧客に使っても問題ありません。
- その件については、明日先方に謝罪する予定です
社内での情報共有、あるいは上司へ報告するときにも「先方」を使うことができます。
謝罪や依頼、お礼などをしなければならない相手を示す際にも使われます。
- 先方とスケジュール調整した上で、後ほど回答させていただきます
社内あるいは社外メールの連絡などでも、「先方」はしばしば使われる言葉です。
連絡相手と共有されている第三者を示す場合、「先方」を使うのが適切でしょう。
ただし、関わっている第三者が複数いるときは、「先方」だけでは特定できない可能性もあるので、個人名や社名に置き換えるのがベターです。
「先方」を使う際の注意点
「先方」は非常に汎用性の高い言葉ですが、使う際に気をつけなくてはいけないポイントがあります。
失礼な表現になってしまわないよう、以下の注意点をしっかり押さえておきましょう。
相手がその場にいるときは使わない
「先方」は、その場にいない第三者を示す言葉です。
そのため、直接対話している相手やその場にいる人を指すときに「先方」を使うことはできません。
リアルで対面していない場合でも、チャットルームなどに本人がいるのなら「先方」と言うのは不適切になります。
「先方」は敬語的表現ではあるものの、基本的には社内など内輪同士の連絡で使われることの多い言葉であり、直接取引先や顧客相手に言うことはありません。
もしその場にいる人を表現したいなら、「〇〇様」「御社」を使うのが適切です。
「先方様」や「先方殿」は間違った使い方
「先方」をより丁寧な表現にしたい気持ちから「先方様」「先方殿」といった使い方をする人がいますが、これは間違いです。
「先方」はそもそもその場にいない相手を指し示す言葉なので、様や殿などをつける必要がないからです。
ただ、会話の中でその場にいない第三者に敬意を払った表現をしたい場合もあるでしょう。
その場合は、話題に上がった人物を敬う言葉である「先様(さきさま)」を使えばOKです。
「先方」の類義語・言い換え表現
「先方」の類義語・言い換え表現を紹介していきます。
シーンや会話内容に合わせて、より適切な言葉を使い分けることで自分の意図を伝えやすくなるでしょう。
相手方・向こう・あちら
「先方」は、「相手方」「向こう」「あちら」などで言い換えることができます。
これらの言葉も「先方」と同じく、その場にいない第三者を示すときの言葉です。
ただし、「先方」が敬意を払った表現であるのに対し、「相手方」「向こう」「あちら」はくだけた言い回しになります。
そのため、場合によっては失礼だと思われる可能性もあるので、使うシーンを選んだ方がいいでしょう。
取引先・客先・〇〇様
普段の社内での連絡や会話では、「先方」よりも「取引先」「客先」「〇〇様」「担当者様」を使う人も多いと思います。
意味としてはほぼ同じなので、TPOに合わせて使い分ければ問題ないでしょう。
ただし、「先方」と同様に、「取引先」や「客先」は曖昧な表現なので、きちんと情報が共有されていないと、誰を指しているのか分からない可能性があります。
しっかり相手を特定して伝えたいのなら、「〇〇様」と個人名で伝えるのがベターです。
「先方」の対義語
顧客や取引先を表す「先方」の対義語である、自分側を表す言葉にはいくつかの種類が存在します。
文脈や場面に合わせて使いこなせるよう、表現の違いを知っておきましょう。
当方
「当方」は、自分が所属する側・チームなどを表す言葉です。
ビジネスシーンにおいては、自分の会社や部署を示すときに使うことができるでしょう。
「私」が個人を表すのに対して、「当方」は自分が所属する側全体を表します。
そのため「当方」で発言する場合は、社内や組織全体の意見となる点に注意が必要です。
また、公的文書などの正式な文面では使わないようにしましょう。
当社・弊社
自分が所属する会社を表すなら、「当社」「弊社」を使うことができます。
「当社」は会社をアピールする場面などで使いますが、「弊社」の場合はへりくだりのニュアンスが含まれるため、相手や相手の会社を立てるときは「弊社」の方が適切です。
一方、社内の相手に使うときは「弊社」は適さないので注意しましょう。
私ども
先方の対義語という意味では、「私ども」も使うことができます。
「私ども」も自分が所属する集団やチームを意味しますが、ビジネスシーンにおいては自分の会社や部署などを表すことが多いです。
なので、個人の意見というよりは会社としての意見、チーム側全体の意見を述べるときに使う方が適切でしょう。
ビジネスシーンで先方を正しく使いこなそう
「先方」は、ビジネスシーンにおいてしばしば使われる言葉です。
社内において第三者を示すときのメジャーな言い回しの1つなので、ぜひ正しい意味や使い方を身につけておきましょう。
基本的には内輪で使う言葉なので、相手がその場にいるときは使えないなどの注意点を踏まえた上で使いこなすことをおすすめします。
便利なビジネス用語を活用して、よりスムーズな連絡やコミュニケーションを目指してくださいね!
- ビジネスシーンにおいて「先方(せんぽう)」とは、「相手方」「この場にいない第三者」を指すときに使われる
- 「先方」は主に社内でのコミュニケーション内で、取引先や顧客を指し示すときに使われることが多い
- 「先方」は相手がその場にいるときは使えない言葉であり、「先方様」「先方殿」といった表現は間違いである
- 「先方」は「相手方」「向こう」「取引先」といった言い換え表現が可能だか、しっかり相手を特定したい場合は個人名や社名で伝える方がベター
- 「先方」の対義語には「当方」「当社」「弊社」などがある