「ご足労おかけいたしますが」の意味や正しい使い方は?例文付きで解説!

ビジネスシーンやオフィシャルな場において、「ご足労おかけいたしますが」というフレーズはよく使われます。
しかし、日常会話ではあまり馴染みがないので、どういう場面で使うべきか戸惑う人も少なくないでしょう。
そこで今回の記事では、「ご足労おかけいたしますが」の意味や正しい使い方について例文付きで解説します。
曖昧な知識で使ってしまうと、かえって失礼になりかねません。
基本をしっかり押さえて使いこなしていきましょう。
Contents
「ご足労おかけいたしますが」とは
「ご足労おかけいたしますが」は、先方がわざわざ出向いてくれることに対して感謝と労いの気持ちを伝える言葉です。
本来ならこちらから伺うべきなのに、相手が足を運んでくれることを有難く思うと同時に申し訳なく思う、という気持ちを伝えています。
「ご足労おかけいたしますが」は、いわゆるクッション言葉の一つです。
来社を依頼する際に一言挟むことで、とても丁寧な印象を与えることができます。
「ご足労」の意味
あまり聞き慣れない「ご足労」ですが、どういう意味があるのでしょうか。
「足労」とは、足を疲れさせること・足を運ばせることを言います。
その「足労」に敬意を表す接頭辞「御」を付けたのが「ご足労」です。
足を運ぶ相手に対する敬語表現として使われます。
来社後は「ご足労いただき」
来社後は「ご足労いただき」を使うことが多いです。
「本日はご足労いただき、有難うございました」といった具合に使います。
他にも「ご足労をおかけいたしました」「ご足労をおかけして申し訳ありません」といったように使われることがあります。
「ご足労」の類似表現
「ご足労」には、似た表現の言葉がいくつかあります。
ここでは、「ご足労」の類似表現を紹介します。
表現のバリエーションを増やして、コミュニケーション力を高めましょう。
「お手数」
「ご足労」のように、相手に負担をかけるという意味で使われる言葉に「お手数」があります。
「ご足労」同様、「お手数をおかけいたしますが」「先日はお手数をおかけいたしました」といった具合に使います。
「お越し」
先方が来るという意味の言い換え表現としては、「お越し」があります。
「お越し」は「来る」の尊敬語です。
「恐れ入りますが、弊社までお越しいただけますでしょうか」「わざわざお越しいただき有難うございます」といった具合に使います。
「ご面倒」
相手に手間をかけさせてしまったときは、面倒なこと・手間がかかることを意味する丁寧語「ご面倒」が使えます。
「ご足労」ほど意味が限定的ではないので、より幅広い場面で使うことができるでしょう。
「ご面倒をおかけいたしますが」「ご面倒をおかけして申し訳ございません」といった具合に使います。
「ご足労」を使う際のポイント
ビジネスで「ご足労」を使う際には注意点がいくつかあります。
せっかくの敬語も使い方を間違えれば、相手を不快にさせてしまいかねません。
ここでは、「ご足労」を使う際のポイントを解説します。
目上の相手にも使える
「ご苦労様」や「お疲れ様」のように、使う相手を選ばなければいけない言葉もあります。
一般的に「ご苦労様」は目上の人から目下の人に、「お疲れ様」は同僚や目上の人に対して使いますが、「ご足労」はどうなのでしょうか。
結論から言えば、「ご足労」は目上の相手にも使える言葉です。
取引先や顧客といった社外の人にも使える便利な表現なので、正しい使い方をマスターしておきましょう。
来訪が決まってから使う
「ご足労」は先方の来訪が決まってから使います。
未確定の段階で使ってしまうと、「まだ行くと言っていないのに勝手に決められた」といった印象を持たれてしまうので注意しましょう。
たとえ会議や打ち合わせなどに相手が来ることが確定事項であっても、先走ってしまうのはマナー違反です。
相手を不快にさせる可能性があるので、先方がはっきり明言してから「ご足労おかけします」と感謝の気持ちを伝えましょう。
取引先の前で社内の人間には使わない
基本的なことですが、敬語の使い方は社外と社内とでは変わってきます。
取引先からの電話では、自分の上司に対して敬語は使いませんよね。
普段は「田中部長」と呼んでいても、「ただいま田中は席を外しております」と呼び捨てにします。
「ご足労」も敬意を表す表現の一つですから、取引先の前で社内の人間には使わないようにしましょう。
場合によっては、社長や他の部署の管理職など社内の人間にわざわざ出向いてもらい、お礼を言いたいこともあるかもしれません。
そんなときは、取引先の人を見送ってから、社内の人間だけになったタイミングで伝えるといいでしょう。
「ご足労様」はNG
言葉を短縮してしまうと、カジュアルな印象になってしまいます。
敬語も同様で、短縮した言葉を使ってしまうと相手に敬意が伝わりません。
なので、「ご足労をおかけいたしました」を短縮した「ご足労様」は使わないようにしましょう。
相手に失礼になってしまうので、きちんと「ご足労おかけいたしますが」「ご足労いただきまして」と言うべきです。
「ご足労」を使った例文
プライベートであまり使う機会がない言葉は、いざというときに咄嗟には出てこないことも少なくありません。
ビジネスシーンに必要な言葉やフレーズがすぐに思い出せるよう、繰り返し使って覚えていきましょう。
最後に「ご足労」を使った例文を紹介します。
取引先の来社前
「ご足労」を使った表現は、場面によって決まった表現があります。
取引先の来社前であれば、来社が決まった時点で以下のように伝えるのが一般的です。
「ご足労おかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします」
対面や電話だけでなく、メールでもよく用いられるフレーズなので、このまま覚えてしまうといいでしょう。
取引先の来社後
取引先が来社した直後に「ご足労」を使う際は、以下のように言うのが基本です。
「本日はご足労いただきまして、有難うございます」
そのときの天気や状況に応じて一言添えると、更に丁寧な印象になります。
- 雨や雪が降っているとき
「本日はお足元の悪い中、ご足労いただきまして有難うございます」
- 繁忙期
「お忙しい中、ご足労いただきまして有難うございます」
来社直後ではなく用件終了後、お見送りする際に言う場合は過去形で伝えましょう。
「本日はご足労いただきまして有難うございました」
「ご足労」は来てもらうことへの感謝の言葉
「ご足労」は、出向いてくれることへの感謝の言葉として「ご足労をおかけいたします」「ご足労いただき有難うございます」といった形で使われます。
対面だけでなく、電話やビジネスメールでも使える便利な言葉なので、覚えておきましょう。
ただし、使うタイミングを間違えると、相手を不快にさせてしまうこともあるため、注意が必要です。
基本をマスターして正しく使うよう心がけましょう。
ビジネス用語ならではの言い回しを覚えれば、社内外の人とスムーズにコミュニケーションがとれるようになります。
使える表現を一つずつ増やしていってくださいね。
- 「ご足労おかけいたしますが」とは、先方がわざわざ出向いてくれることに対して感謝と労いの気持ちを伝える言葉
- 「ご足労」の類似表現は「お手数」「お越し」「ご面倒」
- 「ご足労」を使う際のポイントは、目上の相手にも使える・来訪が決まってから使う・取引先の前で社内の人間には使わない・「ご足労様」はNG
- 「ご足労」を使った例文は、取引先の来社前は「ご足労おかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします」、取引先の来社後は「本日はご足労いただきまして、有難うございます」