喪失感に苛まれる理由とは?辛い感情から立ち直る方法や言葉の意味・使い方を解説
喪失感に見舞われて、心に穴が開いたような気分になることはありませんか。
「喪失感」とは、どんな感情を表す言葉で、どう使うのが正しいのでしょうか。
喪失感情があまりに大きいと日常生活に影響を与えることもあるので、対処法も知っておきたいですよね。
この記事は、喪失感の意味や使い方を解説するとともに、喪失感に苛まれる原因や立ち直る方法を紹介しています。
Contents
喪失感とは?
虚しい気持ちでいっぱいになる「喪失感」とは、どのような感情なのでしょうか。
また「喪失感」と「虚無感」との違いは何なのでしょうか。
はじめに「喪失感」の意味や読み方と「虚無感」との違いを解説します。
「喪失感」の意味や読み方
「喪失感」の読み方は「そうしつかん」で、大切なものや人を失ったり時が過ぎたりした後、もう戻らないと分かった時に感じる、虚しい気持ちのことです。
失ったものの存在や思い出が大きければ大きいほど、心に開いた穴は大きく、なかなか埋められません。
喪失感と一緒に使われることが多い「苛まれる」の読み方は「さいなまれる」で、苦しめられるという意味です。
喪失感と虚無感の違い
「虚無感」の「虚無」とは、全てのものに対して価値や意味を認めない心のこと。
虚無感とは、この世のあらゆることを「無意味で虚しい」と感じる心境を表しています。
「喪失感」と「虚無感」の違いは、心の中に失った大切なものがあったか、無かったかの違いです。
「喪失感」は大切なものを失って虚しくなった気持ちを表すのに対し「虚無感」はもともと世の中は何も意味がないと思っている概念を表しています。
【例文付き】喪失感の使い方は?
続いては「喪失感」の使い方を、例文とともに紹介します。
気をつけたい点の1つは「喪失感」はネガティブな表現なので、ポジティブな内容の文章には使わないほうがよいことです。
また、もともとの言葉に「感」が入っているので「喪失感を感じる」という言い方は、間違いとされています。
喪失感が大きい
例文1)新しい部署での仕事はやり甲斐がなく、これまでと違って相談できる人もいないので、喪失感が大きい。
例文2)恋人と別れた後の大きな喪失感から、自分はもう2度と誰も好きになれないと思った。
喪失感の程度を表す場合は「大きい」を使うことが多いです。
喪失感自体に、非常にネガティブなニュアンスがあるので「小さい喪失感」といった使い方は、あまりないでしょう。
喪失感にかられる
例文1)イベントは当日までトラブル続きで、早く終わればいいと思っていたのだが、終わってみると喪失感にかられている。
例文2)家族の一員のようなペットを亡くした喪失感にかられて、立ち直れない。
激しい感情に心を突き動かされる意味の「かられる」は、とても辛い感情を表す「喪失感」と一緒に使われることが多いです。
「かられる」は「好奇心にかられる」など、強い感情からある行動をせざるを得ない状況の表現に使われます。
喪失感に苛まれる
例文1)ずっと応援していたバンドの解散が発表され、しばらくの間は喪失感に苛まれた。
例文2)亡くなった友人の命日が近づくと、毎年喪失感に苛まれて落ち込んでしまう。
喪失感という言葉と、強い苦しみを感じる「苛まれる」を一緒に使うことで、よりリアルに虚しい気持ちが伝わってきます。
また「襲われる」「見舞われる」を使っても、ショックを受けている心情を表現できるでしょう。
喪失感から抜け出す
例文1)震災後の復興が進んでいるが、人々が抱いている喪失感から抜け出すことは困難だろう。
例文2)夢を諦めて、今は違う仕事で頑張っているものの、本当は喪失感から抜け出せなくて辛いです。
喪失感から立ち直る心理状態の描写には「抜け出す」を使った表現があります。
喪失感から立ち直ろうとする気持ちや行動には「癒す(いやす)」を使い「喪失感を癒したい」等の言い方ができます。
喪失感を埋める
例文1)母は子育てが済んだ後の喪失感を埋めるように、いろいろな趣味に没頭し、多忙な日々を送っているようだ。
例文2)恋人にふられた喪失感を埋めたいと思って、別の男性とデートしてみたが、逆に元カレのことが恋しくなった。
心に穴が開いたような気分の「喪失感」から回復するための行為や心境を、本物の穴をいっぱいにすることの「埋める」を使って表せます。
他には「克服する」「乗り越える」等の、ポジティブな表現もあります。
喪失感に苛まれる理由とは?
辛い喪失感に苛まれるようになるきっかけは、状況や経験、その人の性格などによってさまざまです。
身近な人の死や人生の転機など、たまにしか経験することがないできごとの場合もあれば、日常生活で度々訪れるような喪失体験もあります。
次は、喪失感に苛まれる可能性が高い理由を紹介しましょう。
大切な人を亡くした
家族、友人、恋人など大切な人を亡くした後は、大きな喪失感に見舞われる人が多いでしょう。
今までは、いることが当たり前だった人が、この世の中からいなくなってしまい、2度と会えない現実をなかなか受け入れられません。
何を見てもその人との思い出が蘇り、亡くなった後のできごとも分かち合えないため、今までとは世界が違って見えることもあります。
大きな喪失感に苛まれる日が続き、しばらく抜け出すことは難しいでしょう。
ペットが死んだ
かわいがっていたペットが死んだ後は、ペットロス症候群と呼ばれる喪失感に苛まれて、酷く落ち込んでしまう人も多いです。
ペットが病気で長く苦しんでいた場合は、苦しみから開放されて良かったと思う反面「もっと早くから気づいていれば」と罪悪感に見舞われて、悔やむこともあるでしょう。
話はできなくても飼い主を信頼して寄り添ってくれていたペットに、誰よりも心を許していたために、永遠の別れは深い心の傷になります。
失恋した
付き合っていた恋人と別れたり、好きだった人が他の人と結婚したりしたなど、失恋による喪失感でつらい思いをした人は、少なくないでしょう。
やむを得ない事情によって別れなくてはならなくなった恋愛や、突然引き裂かれてしまったような別れなどは、特にショックが大きくて悲しみがおさまりません。
別れるまでは気づかなかった、その人を思う気持ちや大切さに改めて気づいて、時間が経つほど喪失感にかられる人もいます。
好きな芸能人が結婚した
人気のある芸能人・有名人が結婚すると、喪失感から辛い思いをするファンの人が大勢います。
推しの芸能人を熱心に応援し続けてきた人にとっては、相手が手の届かないところに行ってしまったような気がして、寂しくなるのです。
実在するタレント以外でも、ドラマやコミックの中のキャラクターを好きになって、そのキャラが亡くなったり放送が終了したりすると、喪失感にかられる人もいます。
楽しかったイベントが終わった
喪失感を抱く対象は、生き物だけではありません。
楽しみにしていたイベントや盛り上がったパーティーなどの後に、喪失感に見舞われることもあります。
準備に時間や労力をかけた旅行や行事が終了した後や、張り切って練習した発表会などが済むと、抜け殻のような気分になる人もいます。
次の目標があれば気が紛れることもありますが、1人になると急に気が抜けたような虚しさに落ち込む人もいるでしょう。
喪失感に苛まれるとどうなる?
大きな喪失感に見舞われた場合は、すぐに気分を切り替えられません。
失ったものは戻らないと頭では理解していても、辛い感情で元気を無くし、酷い場合はメンタルや日常生活に影響を与えることもあります。
続いては、特に強い喪失感情が及ぼす精神状態について紹介します。
寂しくて涙が出る
喪失感が大きくて心が酷く傷ついていると、頻繁に寂しさや悲しみを感じて、涙が出ることがあるでしょう。
忙しく過ごしている時や誰かと一緒にいる時には気が紛れているのですが、1人になると思い出して泣いてしまうこともあります。
ときには、理由もなく突然涙が溢れてしまうこともあるため、周りの人を心配させたり自分自身も苦しい感情を持て余したりして、戸惑うこともあるでしょう。
落ち込んで立ち直れない
喪失感は時間の経過とともに克服できることもありますが、その人にとって本当に大切にしていた人やものを失った場合は、強く落ち込んでしまってなかなか立ち直れません。
暗い気持ちの時は、何を見てもネガティブに感じる傾向があるため、無理に明るく振る舞おうとすると余計に辛くなってしまうこともあるでしょう。
何をしている時でも喪失感に苛まれて、眼の前のことに集中できなくなったり、ぼんやりしてしまったりすることもあります。
何もやる気が出ない
大きな喪失感から抜け出すまでは、無気力になって何もやる気が起こらなくなることもあります。
今まで好きだったことに興味が持てなくなったり、行動を起こす気力が湧いてこなかったりするので、何も手につかずに1日を過ごしてしまう日も多くなります。
仕事や趣味にも興味を失い、惰性で嫌々続けたり辞めてしまったりすることもあるでしょう。
そんな自分に自己嫌悪を感じて、ますます喪失感が大きくなる人もいます。
過去のことばかり考えてしまう
心の中の大きな存在を失って喪失感に苛まれている人は、何をしている時でも過去のことばかり考えてしまいます。
かけがえのないものや人が、まだ自分の手の届くところにいてくれた頃のことを思い出しては、思い出に浸って現実から目を背けようとすることもあります。
喪失感を埋めるために新しいことに目を向けたくても、心が過去に囚われているので、過去の幸せだった頃との比較ばかりしていることもあるでしょう。
喪失感から立ち直るには?
喪失感から抜け出すには、時間が解決してくれる場合もありますが、それまでの経緯や状況、その人の性格によっては長く続いてしまうこともあります。
そんな場合は無理に忘れてしまおうとしてもせずに、少しずつ悲しみを癒やすことが大切です。
最後は、喪失感から立ち直るためにおすすめの方法を紹介します。
思い切り泣く
落ち込んでいてはいけないと思って、喪失感から目をそらして元気なふりをしても、心の傷を抱え込むだけで解決にはなりません。
無理に出かけたり友達と騒いだりしないで、1人になって思い切り泣いてみると、違う心境になれる可能性があります。
自分の気持ちを否定することなくしっかりと受け止め、静かに悲しみに向き合いましょう。
そのままの自分の感情を受け入れると、心の痛みの原因や喪失感の大きさが理解できて、対処法が浮かぶかもしれません。
気分転換をする
喪失感にかられて辛い時は、気分転換を試みるのも良いでしょう。
一番手軽で効果的な気分転換は、仕事や勉強、スポーツなどに打ち込むことです。
無心で何かに打ち込むと、気分がアップして落ち込んだ気持ちが晴れることもありますし、努力の結果がでると自分に自信がついて幸福感を覚えるでしょう。
また、自分の好きなアロマや音楽、呼吸法などを使ったヒーリングは、家庭でも気軽にできる気分転換なので、やる気が出ない時にもおすすめです。
ドラマや映画で元気をチャージする
元気を貰えるドラマや映画を観たり本を読んだりして、心に元気をチャージすると喪失感から抜け出すきっかけになります。
自分と同じような悩みを抱えていた主人公が、心を切り替えて元気になるストーリーや、辛い経験を乗り越えて成長するストーリーに、勇気をもらえるかもしれません。
また、悲しいドラマに涙を流したり、コメディで思い切り笑ったりして感情を開放すると、気分がすっきりして新たな気力が湧くこともあります。
親しい人に話を聞いてもらう
喪失感で苦しんでいる気持ちを、信頼できる友達や家族など親しい人に打ち明けて話を聞いてもらうと、気持ちが楽になることもあります。
人と話すことによって、間違った思い込みや感情的なこだわりに気づいて、立ち直るためのアイデアが得られる可能性もあるでしょう。
1人で考えているだけでは解決できない喪失感でも、理解者を得ると軽減されるかもしれません。
また、誰かとおしゃべりした方がストレス解消になる人も多いでしょう。
喪失感は失ったものが大きいほど苛まれる!無理をせず気持ちを切り替えよう
「喪失感」とは、大切な人やものを失ったり、時が過ぎたりした後に感じる、虚しい気持ちのこと。
失ったものが大きいほど、心に大きな穴が開いたような気分になって、辛い感情に苛まれるでしょう。
親しい人やペットの死、失恋などの大きな事件の他、推しの芸能人の結婚や楽しかったイベントの終了など、日常生活のちょっとしたことでも喪失感情の原因になります。
ダメージが酷い場合は、落ち込んだ気持ちが続き、突然涙があふれたり気力を失ったりすることもあります。
無理をしないように自分の気持ちに向き合い、気分転換や人との会話で少しずつ気持ちを切り替えて、辛い喪失感から抜け出しましょう。
- 「喪失感」とは心の中の大きな存在を失った後の空虚な気持ちのこと
- 大切な存在の死や失恋や、芸能人のニュース、イベントの終了などが喪失感を招く
- 喪失感に苛まれると、落ち込んだまま涙が出たり無気力になってしまったりすることもある
- 喪失感から立ち直るには、気持ちをそのまま受け止め、マイペースに気持ちを切り替えよう