【人間万事塞翁が馬とは?】意味や読み方・類義語・英語表現や由来を解説
人間万事塞翁が馬ということわざは、誰しもが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
聞いたことはあるものの意味をよく知らないという人も多いかもしれませんね。
今回は、有名なことわざ『人間万事塞翁が馬』という言葉の意味や使い方などを解説します。
この記事を読めば、きっと『人間万事塞翁が馬』という言葉をマスターできるはずですよ!
Contents
『人間万事塞翁』が馬って?
ことわざの意味や使い方は知っておいて損はありません。
まずは意味や読み方などを見ていきましょう。
意味は?
人間万事塞翁が馬とは、幸不幸は予期し得ない。何が禍福に転じるか分からないという意味を持つことわざです。
簡単にいえば、「人生は何が起こるか分からない」といえます。
この言葉は略して『塞翁が馬』といわれることもあるので覚えておくと便利でしょう。
読み方は?
読み方は『にんげんばんじさいおうがうま』ですが、人間を『じんかん』と読むこともあります。
馴染みのある『にんげん』と読んでも『じんかん』と読んでも、どちらも間違いではありません。
厳密にいうと、人間を『にんげん』と読むのと『じんかん』と読むのとでは意味が違います。
『にんげん』と読むと、想像通り私たち人のことを指しますが、『じんかん』と読むと、世の中や世間といった意味になるのです。
人間万事塞翁が馬の『人間』という言葉をどちらで読むのが正しいのかは、人によって意見が分かれるところ。
自分なりに解釈して、『にんげん』と『じんかん』どちらを使うべきか考えてみるのも面白いでしょう。
例文付き|『人間万事塞翁が馬』の使い方
人間万事塞翁が馬の意味や読み方を理解したところで、さっそく使い方をみていきましょう。
- 第一志望の大学には落ちたけど素晴らしい友人たちにも恵まれて、これが人間万事塞翁が馬ってことだね。
- 嫌なことがあって深酒してしたときに出会った人が奥さんだから、人間万事塞翁が馬ってこともあるんだな。
- 人間万事塞翁が馬だから、今回の結果に甘んじず油断せず行こう。
このように、不運に見舞われたように思えても結果的に幸運に転じたことや、逆に良いことがあっても悪いことが起こるかもしれないといったことを表現したいときに使える表現です。
類義語
人間万事塞翁が馬の意味と似ている言葉は以下の通りです。
- 沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり(人生には浮き沈みがあるということ)
- 禍福は糾える縄の如し(幸福と不幸は交互にやってくる)
- 一寸先は闇(先のことは全く予知できない)
- 楽あれば苦あり(人生には楽なことも苦しいこともある)
どの言葉も、人生には良いことも悪いことも起こることの例えとなっていることが分かりますね。
英語表現
人間万事塞翁が馬を英語で表現すると『Every cloud has a silver lining.』となります。
全ての雲の向こうは輝いていると訳され、苦しいことを乗り越えた先には輝かしい未来が待っていることを例えた表現となっています。
他にもいくつか英語表現として挙げられるフレーズがあるのでご紹介しましょう。
- Joy and sorrow are today and tomorrow.(今日の喜びは明日の悲しみ)
- Inscrutable are the ways of Heaven.(天がやることは不可解だ)
- Life is unpredictable.(人生は予測できない)
人間万事塞翁が馬が表している意味は、世界共通の認識なのかもしれませんね。
『人間万事塞翁が馬』が馬の由来
人間万事塞翁が馬という言葉は、紀元前から中国に伝わる思想書「淮南子」で語られている逸話が由来とされています。
まずは、そのエピソードをご紹介しましょう。
中国の北に、占いの上手な老人が住んでいました。
そのさらに北には胡という国の異民族が住んでいる場所があり、国境には城塞があります。
ある日、老人の愛馬が北の国の方に逃げてしまいました。
このあたりの馬は良馬とされ高く売れるので、近所の人々は老人をかわいそうに思ってなぐさめに行きました。
しかし老人は残念がっている様子はなく、「このことがかえって幸運になるかもしれないよ」とさえいっていたのです。
そしてその言葉の通り、なんと逃げ出した馬は他の良い馬をたくさんつれて老人のもとへと帰ってきました。
そこで近所の人たちがお祝いを伝えに行くと、老人は首を振って 「このことが災いにならないとも限らないよ」と言い放ちました。
そしてまたしばらくすると、老人の息子がその馬から落ちて骨折してしまったのです。
愛馬が他の馬を連れてこなければ、老人の息子がケガをすることはありませんでした。
近所の人たちが慰めると、老人は平然と「このことが幸福にならないとも限らないよ」と言いました。
しばらく経ったころ、北の異民族が城塞に攻め入ってきました。
全ての若者は戦いに行きましたが、国を守った代わりに多くの人が亡くなりました。
しかし老人の息子は足を負傷していたので、戦いに行かずに済んで無事だったのです。
この老人こそが塞翁(塞に住んでいる翁)で、逸話に出てくる馬こそが塞翁が馬=塞に住む翁の馬ということになります。
こうした逸話が由来となり、人間万事塞翁が馬という言葉が生まれたとされています。
『人間万事塞翁が馬』を座右の銘にしている有名人は?
人間万事塞翁が馬という言葉は、多くの人に愛されている言葉です。
それだけに、数多くの有名人が座右の銘としてこの言葉を挙げているといわれています。
その中から今回は2名をご紹介します。
まずは、iPS細胞にまつわる研究で2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥さんです。
山中さんは、各地での講演やインタビューでもこの言葉を挙げています。
次にゴジラ松井の愛称で親しまれている元プロ野球選手の松井秀喜さんです。
松井さんは現役時代に怪我の影響で連続試合出場記録がストップしてしまったことがありましたが、怪我のおかげで自分の打撃を見直す機会を得られたと語っています。
まさに、人間万事塞翁が馬を象徴するようなエピソードであるといえるでしょう。
人間万事塞翁が馬とは、幸不幸は予測ができないということ!
今回の記事では、中国の思想書『淮南子』のとあるエピソードに由来することわざ、人間万事塞翁が馬について紹介しました。
簡単に言ってしまえば人生は何が起こるか分からないという意味で、多くの人が座右の銘としていることでも有名です。
意味や由来を知り、言葉に対する理解をより深めていきましょう。
- 人間万事塞翁が馬の意味は『人生の幸不幸は予測ができない』
- 読み方は『にんげんばんじさいおいがうま』もしくは『じんかんばんじさいおうがうま』
- 人間万事塞翁が馬の類義語は『沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり』『禍福は糾える縄の如し』『一寸先は闇』『楽あれば苦あり』
- 英語表現は『Joy and sorrow are today and tomorrow.』『Inscrutable are the ways of Heaven.』『Life is unpredictable.』
- 由来は中国の思想書『淮南子』の一説
- 人間万事塞翁が馬を座右の銘に掲げているのは、山中伸弥さんや松井秀喜さん