呉越同舟の意味とは?由来や言い換え・英語表現を解説!
呉越同舟という四字熟語を聞いたことがあるでしょうか?
耳にしたことがあっても、意味はよく分かっていないという方も多いかもしれません。
今回の記事では、『呉越同舟』の意味や言葉の由来、言い換え表現、英語表現について詳しく解説します。
Contents
【例文付き】呉越同舟の意味とは?
呉越同舟(読み方:ごえつどうしゅう)とは、簡単にいうと仲の悪い人同士が同じ環境下で危機的状況に陥ったときに、協力して困難を乗り越えることを例えた言葉です。
本来は、仲の悪い人や敵対関係にある者同士でも、利害が一致すれば助け合うという意味で使われていました。
呉越同舟の「舟」を「船」と書いている場合もありますが、それは誤りです。
正しくは「舟」なので間違えないようにしましょう。
【例文】
- 競合他社とはいえ、業界不振を立て直すために呉越同舟で協力し合う
- 災害時には、復興に向けてライバル会社同士であっても呉越同舟でことに当たる
例文でもあるように、呉越同舟を使うときはビジネスや政治の局面が多くあります。
意味をしっかり覚えて、応用できるようにしましょう。
呉越同舟の語源と由来
次に、呉越同舟の語源と由来について説明します。
由来は孫子の兵法書『九地』
呉越同舟は、もともと中国の孫子が書いた兵法書である『九地』に由来する故事成語です。
春秋戦国時代に敵対関係にあった呉と越という国が、呉越同舟の「呉越」となっています。
この2か国は隣国同士で仲が悪く、戦争を繰り返していました。
九地ではこの二か国を引き合いに、「呉と越の人間が同じ舟に乗り合わせ、舟が転覆するほどの暴風に見舞われたとしたら、普段の恨みなど忘れて互いに協力するだろう」といったエピソードが語られています。
これが元となり、『呉越同舟』という言葉が生まれたとされています。
白文と書き下し文
九地は漢文で書かれた書物です。
呉越同舟のエピソードが書かれているとされている箇所を抜粋したものは以下です。
【白文】
夫呉人與越人相惡也 當其同舟而濟、遇風、其相救也、如左右手
【書き下し文】
それ呉人と越人と相悪むも、その舟を同じくして済り風に遇うに当たりては、その相救うや左右の手のごとし
【現代語訳】
そもそも呉の人と越の人は、お互いに憎み合っているが、同じ舟に乗り合わせて大風が吹いたなら、そこでお互いに左右の手のように連携をとり、助け合うであろう
呉越同舟の言い換え表現
呉越同舟には、他にどんな言い換え表現があるのでしょうか。
次に、呉越同舟の言い換え表現を紹介します。
同舟相救う
『同舟相救う』とは、「どうしゅうあいすくう」と読みます。
呉越同舟と同じく、孫子の九地に由来する言葉です。
意味は「同じ舟に乗り合わせた人たちは、たとえ仲が悪くとも窮地には協力し合う」というものなので、呉越同舟の類語といえるでしょう。
楚越同舟
『楚越同舟』は「そえつどうしゅう」と読む故事成語です。
呉越同舟、同舟相救うと同様に、孫子の九地に由来しています。
『楚』とは、呉や越と同様に春秋戦国時代に存在した国のひとつです。
呉と越の関係が、そのまま楚と越の関係になり変わっていると考えると分かりやすいでしょう。
このようなことから、楚越同舟も呉越同舟と同様の意味を持っています。
同舟共済
同舟共済とは、同じ問題を抱える者同士が一致団結して協力するという意味です。
「同舟」という言葉が使われていることから分かるように、呉越同舟から派生した言葉とされています。
呉越同舟よりは、仲の悪い者同士というニュアンスは少なくなっています。
呉越同舟の英語表現
最後に、呉越同舟の英語表現を紹介します。
呉越同舟を英語で言うと、『bitter enemies in the same boat』『Woes unite enemies』などと表現されます。
『bitter enemies』とは敵仇同士という意味ですが、ライバルという意味を持つ『rivals』に変えて使うこともできます。
『in the same boat』と一緒に使うことで、同舟や同じ環境下に置かれていることが表現できるのです。
また『Woes unite enemies』は、災難が起こると敵同士は団結するという意味があります。
『bitter enemies in the same boat』のように字面を訳したものではなく、意味に着目して英訳したものといえるでしょう。
呉越同舟の正しい意味を覚えて使いこなそう!
呉越同舟とは、『ごえつどうしゅう』と読む言葉で、中国の孫子が書いた兵法書が由来です。
呉と越という敵国の者同士が同じ舟に乗り合わせて災害に見舞われたら、切り抜けるために敵同士であっても協力し合うだろうというエピソードが元になっています。
これが転じて、今では「敵同士であっても問題を解決するために協力し合う」という意味で使われるようになりました。
現在ではビジネスシーンで使われることも多い言葉なので、覚えておきたい四字熟語のひとつといえるでしょう。
使い方や意味を覚えて、使いこなせるようになってくださいね!
- 呉越同舟の意味は、仲の悪い人同士が同じ環境下で危機的状況に陥ったときに、協力して困難を乗り越えること
- 呉越同舟の由来は、孫子が書いた兵法書の一説「呉と越の人間が同じ舟に乗り合わせ、舟が転覆するほどの暴風に見舞われたとしたら、普段の恨みなど忘れて互いに協力するだろう」
- 白文は『夫呉人與越人相惡也 當其同舟而濟、遇風、其相救也、如左右手』
- 書き下し文は『それ呉人と越人と相悪むも、その舟を同じくして済り風に遇うに当たりては、その相救うや左右の手のごとし』
- 現代語訳は『そもそも呉の人と越の人は、お互いに憎み合っているが、同じ舟に乗り合わせて大風が吹いたなら、そこでお互いに左右の手のように連携をとり、助け合うであろう』
- 呉越同舟の言い換え表現は「同舟相救う」「楚越同舟」「同舟共済」など
- 呉越同舟の英語表現は「bitter enemies in the same boa」「Woes unite enemies」など