「諸事情」の意味や正しい使い方とは?ビジネス例文と合わせて解説!
仕事の会話やビジネスメールなどでよく使われる「諸事情」という言葉。
「上司や先輩が使っているのを真似て使っているけれど、はたして正しく使えているのだろうか」と不安を覚えている人もいるでしょう。
今回の記事では、「諸事情」の意味や正しい使い方をビジネス例文と合わせて解説します。
「諸事情」をビジネスシーンで使いこなしましょう。
Contents
「諸事情」とは
「諸事情」とは、「諸々の事情」「多くの事情」という意味の言葉です。
複雑な事情の説明を割愛したり、明かせない事情を曖昧にしたりする際に使用します。
一種の婉曲表現で、ビジネスシーンにおいて頻繁に登場する言葉です。
「私用」「私事」との違い
「私用」「私事」も、詳細を明かさない表現としてよく使われます。
しかし、「諸事情」と「私用」「私事」は意味合いが少し異なります。
「私用」「私事」は個人の事情なのに対し、「諸事情」には公私の区別がなく、個人の事情も会社の事情も含まれます。
例えば、「私用により会議を欠席いたします」は病気などの個人的な事情で欠席したということです。
一方、「諸事情により会議を欠席いたします」は個人的な事情かもしれないし、会社の事情かもしれないということになります。
「諸事情」の類語
ビジネスシーンでは「諸事情」に似た表現がいろいろ使われています。
ここでは、「諸事情」の類語を紹介します。
「諸般の事情」
「諸般の事情」は、「諸事情」とほぼ同じニュアンスを持つ言葉です。
ただ、「諸事情」よりも若干硬く、丁寧な表現といえます。
そのため、慎重な対応が求められる場面で「諸事情」に代わって使われる傾向があります。
「都合により」
「都合により」も、具体的な内容を明かさずに事情があることを伝える言葉です。
「諸事情」よりもカジュアルな表現といえるでしょう。
「仔細」
あまり馴染みがないかもしれませんが、「仔細」も「諸事情」の言い換え表現といえます。
読み方は「しさい」で、「詳しい事情」「特別な理由」といった意味を持つ言葉です。
「仔細があって計画が変更になりました」といった使い方をします。
また、「仔細」には「詳細」「一部始終」といった意味もあります。
そのため、「仔細承知いたしました」「仔細に検討した結果」といったフレーズで使われることも多いです。
「諸事情」を使う際の注意点
「諸事情」は事情を曖昧にできる便利な言葉ですが、使用する際に注意すべき点がいくつかあります。
ここでは、「諸事情」を使う際の注意点を紹介します。
ビジネスコミュニケーションにおいては、以下の点に注意しましょう。
多用は禁物
「諸事情」に限らず、婉曲表現の多用は禁物です。
内容をぼかしているわけですから、あまりに使いすぎると真面目に説明する気がないような印象を与えてしまいます。
事情を曖昧にするのであれば、伝えていい部分については言葉を尽くしてわかりやすく説明して、理解を得られるよう心がけましょう。
どうしても事情を説明できない場合は、申し訳ない気持ちを態度で示すのも大切です。
類語と使い分ける
事情を曖昧にできる便利な言葉はたくさんありますが、あらゆる状況に使えるわけではありません。
例えば、以前から決まっていた取引先との商談を担当者が病欠する場合は、「諸事情」を使った方が相手の不快感は軽減できるでしょう。
「私用」「私事」を使ってしまうと、「自分のことを優先して商談を疎かにしている」と思われてしまう可能性があるからです。
反対に、「諸事情がありまして、来月結婚することになりました」といった表現は適切ではありません。
結婚は個人の話なので、「私事ですが、来月結婚することになりました」と伝えるべきです。
状況によって最適な表現が違うため、類語ときちんと使い分けるようにしましょう。
説明責任があるときは使わない
当然のことながら、説明責任があるときは婉曲表現を使わないようにしましょう。
納期が遅れたり商談が中止になったりして、先方に迷惑をかけた場合は、その事情をきちんと説明しなければなりません。
先方の都合もありますし、場合によっては契約自体を継続するか否か検討しなければならない可能性もあります。
その場合の判断材料として正確な状況説明は必要ですから、「諸事情がありまして」では済まされないのです。
現状をきちんと把握し、説明責任がある場合は曖昧な表現は避けるようにしましょう。
理由が明らかなときは使わない
理由が明らかなときは、「諸事情」を使わないようにしましょう。
原因がわかっているにも関わらず「諸事情で」と言ってしまうと、単にマニュアル通りに喋っているだけのように思われてしまいます。
理由が明らかなら、わざわざ事情を曖昧にする必要はありません。
相手におざなりな印象を与えかねないので、状況に合った表現を心がけましょう。
「諸事情」を使った例文
最後に、「諸事情」を使った例文をまとめてみました。
似たようなシチュエーションがあれば、ぜひ使ってみてください。
「せっかくのご提案ではございますが、今回は諸事情により辞退させていただきます」
「イベントのプログラムは諸事情を考慮した結果、変更となりました」
「大変残念ですが、諸事情がございまして弊社は参加を控えさせていただきます」
「今回の延期は諸事情によるものと聞いております」
「諸事情」をビジネスで使いこなそう!
「諸事情」とは、事情を明らかにすることを避けるために使われる婉曲表現です。
ただし、説明責任があるときや理由が明らかなときには使えないので、その点は注意点してください。
自己判断が難しいときは、上司や先輩に確認するのがおすすめです。
会社や取引先の状況をよく観察し、相手に対する配慮や敬意を忘れなければ、きっと正しい表現が身についていくはずです。
活用シーンを見極めて、適切な場面で「諸事情」を使いましょう。
- 「諸事情」とは、多くの事情という意味で、複雑な事情の説明を割愛したり明かせない事情を曖昧にしたりする際に使用する言葉
- 「諸事情」が公私を問わないのに対し、「私用」「私事」は個人的な事情に限られる
- 諸事情の類語には「諸般の事情」「都合により」「仔細」がある
- 諸事情を使う際の注意点は、多用は禁物・類語と使い分ける・説明責任があるときは使わない・理由が明らかなときは使わない