「野暮」とはどんな意味の言葉？正しい使い方を例文付きで解説！

つまらない用事という意味で、用件を曖昧にしたい時に「野暮用」という言葉を使いますよね。

他にも、「野暮ったい格好」など、日常会話で「野暮」という言葉はよく耳にしますが、そもそもどのような意味なのでしょうか。

褒め言葉ではないことはなんとなくわかるものの、具体的な意味となるとピンとこないという人も少なくないでしょう。

そこで今回の記事では、「野暮」という言葉の意味と正しい使い方について例文付きで徹底解説します。

「野暮（やぼ）」とは

「野暮」の読み方は「やぼ」で、実は3つの意味があります。

まずは「世情や人情の機微がわからない」「わからずやで融通が利かない」という意味です。

「野暮なこと言うなよ」という言葉は、「気の利かないことを言うなよ」という意味になります。

気の利かない人のことを、「野暮天（やぼてん）」と呼ぶこともあります。

2つ目は、「垢抜けていない」「洗練されていない」という意味で、簡単にいえば「ダサい」ということです。

「野暮ったい格好」という言葉は、「ダサい格好」という意味になります。

そして、野暮には「遊郭（遊里）の事情に通じていない」という意味もあります。

「遊び慣れておらず、男女の仲に疎いこと」です。

語源

「野暮」の語源は諸説あります。

まずは、田舎に住む男性や田舎者を意味する「野夫」が転じたという説です。

田舎に住んでいると世事に疎くなるため、洗練されていない様子を意味するようになったと考えられています。

松尾芭蕉の『奥の細道』にも「野夫といへどもさすがに情け知らぬには非ず」とあり、江戸時代には野夫が情けと関連づけられていたことがわかります。

また、雅楽の楽器の「笙（しょう）」を語源とする説もあります。

笙は17本の竹管を束ねた楽器ですが、リードがついているのは15本だけです。

竹菅にはそれぞれ名前があり、リードがなく音が出ない2本は「也（や）」と「毛（もう）」といいます。

音が出ずに役に立たない「也毛（やもう）」が転じて「野暮」になったという説です。

他にも、「野夫」と似ていますが、自然が豊かな場所に住む「藪者」から転じたとする説があります。

「野暮」の言い換え表現

「野暮」には色々な類義語があります。

ここでは、「野暮」の言い換え表現について見てみましょう。

「無粋」

「無粋（ぶすい）」は、「粋（いき）ではない」という意味の言葉です。

「粋」とは、「垢抜けていること」「人情の機微に通じていること」を指します。

つまり、「野暮」と同じく「人情の機微に通じていない」という意味を持ちます。

「無骨」

「無骨（ぶこつ）」も「野暮」と似たニュアンスを持つ類語です。

「無骨」は、「洗練されていないこと」「無作法なこと」を意味します。

「粗野」

「粗野（そや）」は、「言動が荒々しく、下品で洗練されていない」という意味です。

「粗野な振る舞い」「粗野な態度」といった具合に使われます。

「ダサい」

先述した通り、「ダサい」も「野暮」の類義語といえます。

「ダサい」は、「垢抜けていない」「格好悪い」という意味の言葉です。

「野暮」の対義語

野暮と反対の意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。

続いて、「野暮」の対義語について紹介します。

「粋」

「粋」は「無粋」の対義語であるため、「野暮」の対義語といえます。

「粋な計らい」「粋な姿」といった具合に使われます。

「垢ぬける」

「野暮」には「垢抜けていない」という意味があるので、「垢ぬける」も対義語といえます。

「不純なものを省き、より洗練されたものに磨き上げる」というニュアンスを持つ言葉です。

「通」

「通（つう）」は、ある分野に通じていて詳しいこと、 人情に通じ人柄がさばけていることを意味します。

「食通」「情報通」といった具合に使われます。

褒めるニュアンスが強く、「野暮」の対義語といえるでしょう。

「野暮」を使った例文

「野暮」は、日常会話でもよく出てくる言葉です。

ここでは、「野暮」を使った例文を紹介します。

「野暮」を使う際の注意点

意味や語源を見てもわかる通り、「野暮」は決して良いイメージのある言葉ではありません。

そのため、不用意に他人に対して使えば、悪口と受け止められてしまう可能性があります。

見た目が垢抜けていない人がいたとしても、そのまま「野暮ったいね」と口にすれば、相手を不快にさせてしまうでしょう。

親しい間柄であれば冗談で済むかもしれませんが、「野暮」と言われて嬉しい人はまずいません。

自虐的に使うのであれば問題はありませんが、他人に対して使う際には、相手との関係性や場の空気に充分に注意しましょう。

「野暮」の意味や使い方を正しく理解しよう！

「野暮」という言葉はネガティブな意味を持つので、意味や使い方を正しく理解して使うようにしましょう。

使い方を間違えてしまうと、人を傷つけてしまう恐れがあります。

「野暮」の意味や使い方を正しく理解して使うようにしましょう。

お互いの距離感や場の空気を考えず、相手を「野暮」呼ばわりしてしまえば、自分こそが野暮な人になってしまいますよ。

人の気持ちを思いやり、場を明るくできる粋な人になりましょう。