愛着障害とは?4つの愛着スタイルや恋愛の特徴・愛着障害からくる問題を克服する方法も
人を好きになると、わけもなく不安になったり相手の愛を疑ったり、なぜか平常心ではいられなくなる…。
そんな悩みを抱えているようなら、もしかしたらそれは愛着障害が原因かもしれません。
今回の記事では、4つの愛着スタイルと愛着障害に関する悩みを抱えている人の恋愛面における特徴、愛着障害からくる問題を克服する方法について解説します。
Contents
愛着障害とは?
そもそも『愛着』とは、簡単にいってしまえば人と人との間にできる『絆』です。
そして愛着障害とは、幼少期の頃に親との『絆』が上手く形成されなかったことが原因で幼少期に発症するとされている精神疾患のうちのひとつです。
乳幼児期に親からの愛情不足やネグレクトがあると、親との間に絆など生まれようもないのは想像に容易いでしょう。
このように親と自分との愛着がうまくいかないと、大人になってからも人間関係に影響を及ぼしたり、人と接するのが苦手になったりしてしまうのです。
具体的に現れるとされている愛着障害に関係する影響は以下の通りです。
- 自分に自信が持てない
- 他人の言動を信用できず疑ってしまう
- 他人に依存する
- 自分を大切にできず、過剰に相手に尽くしてしまう
- 見捨てられ不安を抱えやすい
- 対等な関係を築けない
- 男女関係にネガティブなイメージを抱きやすい
実は大人の愛着障害については研究がまだ進んでおらず、明確な病気とはまだ認められていません。
しかしさまざまな問題との関連性が指摘されていますから、いつの日か研究が進み関係性が明らかにされる日がきっと訪れるでしょう。
4つの愛着スタイルと愛着障害との違い
愛着の仕方にも個人差があり、大きく分けて4タイプあります。
ここでは、4タイプの愛着スタイルについて解説します。
『愛着障害』と『愛着スタイル』の違い
愛着障害という言葉と混同されやすいのが愛着スタイルです。
愛着スタイルは、大人になってからの対人関係に対する傾向を示すものに対し、愛着障害は幼少期に原因があるとされている精神的な障害です。
愛着スタイルは比較的柔軟なので環境次第で変化する可能性もあります。
では『愛着障害』と『愛着スタイル』の違いを理解したところで、愛着スタイルの4つのパターンについてみていきましょう。
安定型
愛着スタイルは安定型と不安定型に分かれており、健常な発達を示すタイプが『安定型』です。
安定型は人間関係や職場などの環境への適応力が高く、健全な関係を築けます。
自己肯定感もあり、自分を卑下することもなく、きちんと自己主張できます。
不安定型ー不安型
気持ちが不安定になりがちな『不安定型』は3タイプに分かれます。
そのうち『不安型』は、常に人の顔色をうかがっては、他人に合わせようとするタイプです。
嫌われたくないという気持ちが強く、常に人から悪く思われているのではないかという不安を抱えています。
嫌われることを恐れるあまり、かまってほしいのに相手を拒絶してしまうこともあります。
不安定型ー回避型
不安定型のひとつである『回避型』は、他人と距離を置こうとするタイプです。
親密な関係を重いと感じ、束縛されることを嫌います。
人を当てにすることを避け、逆に頼りにされることも好きではありません。
しかし他人と関わりを持ちたがらないにもかかわらず、唐突に攻撃的になって人を傷つけることがあります。
不安定型ー恐れ・回避型
『不安型』と『回避型』の両方の特徴を併せ持つのが『恐れ・回避型』です。
人と関わりたくない気持ちと人に嫌われたくないという気持ちが同時に存在しており、心の中で常に葛藤が起きています。
他人に否定的な態度を取りつつも、心の中では認めてほしいと願っているという矛盾を持ったタイプです。
落ち込んだかと思えば急に暴力的になることもあり、不安定な言動を取ることも多々あります。
愛着障害に関する問題を抱えている人の恋愛面における特徴
対人関係に大きな影を落とす愛着障害ですが、恋愛においてはどのような問題が生じやすいのでしょうか。
ここでは大人になってからも愛着障害に関する問題を抱えている人の恋愛面における特徴を見ていきましょう。
恋人との距離感が上手く取れない
愛着障害の影響があると、恋人との距離感がうまく取れないことがあります。
四六時中恋人にべったりで片時も離れたがらなかったり、反対に距離を詰められず避けてしまったりと、両極端な態度を取りがちです。
感情の起伏が激しく本音を伝えられない
愛着障害を抱える人の場合、感情の起伏が激しく本音をうまく伝えられません。
「嫌われたらどうしよう」という不安が常に心の奥底にあるため、思ったことを素直に言えず、相手に言われるがままになってしまうこともあるほどです。
また逆に相手が自分から離れていかないようにとあえて高圧的に振舞うこともあり、不安や恐れの感情をうまく制御できません。
恋人の気持ちを試すような行動をする
愛着障害の人は相手の愛情が信じられないため、恋人の気持ちを試すような行動をすることがあります。
浮気をしたりやきもちを焼かせようとしたり、相手が嫌がるような行為をわざとしますが、それは相手の愛情を試すだけではありません。
愛されたいと願いつつ、人と密接な関係になることを嫌う相反する思いが背景にあります。
愛されたいのに愛されるのが怖いため、自ら関係を台無しにしてしまおうとするのです。
自分を無条件に全肯定してくれる人を求めている
愛着障害が尾を引いている人の場合、人を避けつつもどこかで自分を無条件に全肯定してくれる人を求めていることもあります。
乳幼児期に欲求を拒絶された経験があれば、それがトラウマとなって肯定されたいと願うことにすら罪悪感を覚えるようになってしまうのです。
そのためせっかく他人が手を差し伸べてもその手を取れず、いつまで経っても孤独が解消されません。
愛着障害からくる問題を克服する方法
愛着障害は乳幼児期における愛着形成の不具合が原因ですが、対処法がないわけではありません。
ここでは、愛着障害からくる問題を克服する方法を解説します。
自分を責めすぎない
愛着障害の影響で人間関係が上手くいかない人は多いものですが、それは幼少期のトラブルに原因があるだけで、本人には何ひとつ責任はありません。
「私が悪いんだ」と思い込み、自分を責めすぎないようにしましょう。
自分を責めればますます自信がなくなり、事態は悪化するだけです。
問題解決に必要なのは、どうすればうまくいくのかを考えることです。
ただでさえ人間関係を円滑に進めるのは難しく、愛着障害がなくてもうまくいかないことは日常茶飯事といっても過言ではありません。
重く受け止めすぎず、現状把握に努めて改善していきましょう。
自分自身の本質を理解する
人は無意識に行動すると、同じことを繰り返しがちです。
いつも恋がうまくいかない人が何も対策をしなければ、次の恋もうまくいかないでしょう。
大切なのは、自分自身の本質を理解することです。
愛着障害としての特徴が見られるなら、そのことを受け入れ、自分のタイプに合った対策を立てることで、過去の繰り返しは避けられるでしょう。
昨日までうまくいかなかったのに、昨日と同じ今日を過ごせば、うまくいく未来はやって来ません。
うまくいかないのはなぜか、現象の本質を見極めて改善していきましょう。
安心できる環境や信頼できる人を増やす
人間関係の問題を1人で解決するのは難しいものですから、安心できる環境や信頼できる人を増やしていきましょう。
愛着形成によって、多くの人は心の『安全基地』となる愛着関係を作っていきます。
子どもの頃は親が愛着対象になることが多いものですが、大人であれば恋人や友達が心のよりどころとなる場合が多いでしょう。
恋人や友人から嫌われているのではないかと良からぬ考えを起こしてしまうかもしれませんが、冷静に考えて、もし嫌われていたら恋人や友達にはなりません。
『恋人や友達にしたいと思うほど好かれている』という事実をきちんと理解できれば、徐々に心が軽くなっていくはずです。
大人の安全基地づくりのポイントは、自分も相手の安全基地になる意識を持つことです。
相手を信じ、相手を支えられる自分になれるよう心がけましょう。
カウンセラーに相談する
自力で解決するのが難しそうなのであれば、カウンセラーに相談してみましょう。
専門家ならではの知識や豊富な経験により、自分が抱えている問題解決へ向けた糸口が掴めるかもしれません。
1人で苦しまず、専門家に助けを求める勇気を持つことも克服への第一歩です。
難しいと思ったら専門家の手をかりて、少しずつ新しい自分へと変わっていこう
恋愛関係に暗い影を落とす愛着障害は、物心がつく前に原因が発生するため、なかなか自分では自覚できないものです。
しかし、もし「愛着障害だったのでは?」と思い当たることがあれば、改善策を試してみましょう。
自分の安全基地を作り上げることができれば、きっと安心感を得られるようになるはずです。
もし自力での解決が難しいと思ったら、専門家の手を借りるのがおすすめです。
カウンセリングを受ければ、専門家ならではの知識と経験がきっと力を貸してくれるでしょう。
できることから始めて、少しずつ時間をかけて新しい自分へと変わっていってくださいね。
- 愛着障害とは、幼少期に親との関係性をうまく築けなかったことが原因で、人間関係に生じるさまざまな問題のこと
- 愛着スタイルには『安定型』『不安定型ー不安型』『不安定型ー回避型』『不安定型ー恐れ・回避型』の4つのタイプがある
- 愛着障害に関する問題を抱えている人の恋愛面における特徴は、恋人との距離感が上手く取れない・感情の起伏が激しく本音を伝えられない・恋人の気持ちを試すような行動をする・自分を無条件に全肯定してくれる人を求めている
- 愛着障害からくる問題を克服する方法は、自分を責めすぎない・自分自身の本質を理解する・安心できる環境や信頼できる人を増やす・カウンセラーに相談する