漸く(ようやく)の意味・読み方とは?しばらくとの違いや使い方・例文
「漸く」は、普段の生活の中でなかなか目にする機会が少ない漢字です。
目にする機会が少ないため、見かけたときに「なんて読むんだろう」「どういう意味なんだろう」となることもあるのではないでしょうか。
この記事では、「漸く」の意味や読み方、語源について解説します。
「しばらく」との違いや使い方、例文も合わせて解説しますので、間違えないように覚えておきましょう。
Contents
「漸く」の読み方と意味
「漸く」はどういった読み方や意味を持つ漢字なのでしょうか。
まずは、「漸く」の読み方や意味を確認していきましょう。
「漸く」の意味
「漸く」は「ようやく」と読み、長い間待ち続けていたことが実現したときや、苦労の末になにかを達成したときに使います。
「やっと」「どうにか」といった言葉と同じような意味ではありますが、「漸く」はかしこまった場面でも使える言葉です。
また、「漸く」には「かろうじて」といったニュアンスも含まれるため、達成が困難なことをギリギリ実現できたときにも用いられます。
「漸く」の語源
「漸く」の語源で有力とされている説は、水を意味するさんずいと「斬る」の組み合わせで、「水の流れを斬って(変えて)少しずつ導きとおす」から「少しずつ」の部分だけが残ったというものです。
他にも、「斬った木材に水が少しずつ染み込むところ」から来ている説や、「水が徐々に岩を削り取るような長い時間をかけるところ」から来ている説もあります。
「漸く」と間違えやすい漢字
「漸く」はあまり目にする機会が少ない分、他の漢字との間違いが起こりやすくなります。
ここでは、「漸く」と間違いやすい漢字を紹介します。
「暫く」(しばらく)
「暫く」は「しばらく」と読み、「少しの時間」「あまり長時間でない時間」を意味する言葉です。
【例文】
・甥っ子が暫く会わないうちに大きくなっていた
・準備いたしますので暫くお待ちください
「漸く」と違い、「長時間かかっての達成や実現」などの意味は含まれていません。
「ようやく」か「しばらく」かは前後の文章から判断しやすいので、間違えないように注意しましょう。
「悉く」(ことごとく)
「悉く」は「ことごとく」と読み、「すべて」「なにもかも」といった意味になります。
【例文】
・事前に用意した作戦が悉く失敗した
・期待が悉く裏切られた
「悉く」は主にネガティブな文章で使われる言葉です。
ポジティブな意味では使われないので注意しましょう。
「漸く」の3つの使い方
「漸く」には主に3つの使い方があります。
「漸く」の3つの使い方を例文とともに見ていきましょう。
苦労が実ったとき
苦労が実ったときに「漸く」を使うことがあります。
【例文】
・毎日必死に野球を練習し、漸く甲子園に出場した
「漸く」には「困難な過程を乗り越えた」というニュアンスがあります。
つまり、「甲子園は非常に行くのが難しいところだが、苦労した末に甲子園に出場することができた」といった意味になります。
少しずつ状況が変化するとき
少しずつ状況が変化するときにも「漸く」が用いられます。
【例文】
・社会人1年目が終わり、漸く2年目を迎える
「漸く」には「かかった時間が長い」という意味が含まれています。
「1年間が非常に長く感じたが、やっと2年目を迎えた」ということを表しています。
ギリギリ・やっとのとき
ギリギリ、やっとのときに「漸く」が使われることもあります。
【例文】
・追加合格で、漸く入学が決まった
この場合の「漸く」は「なんとか」とほぼ同じ意味です。
「追加合格で、なんとか入学が決まった」とも言い換えられます。
「漸く」を使ったビジネスシーンの例文
「漸く」はビジネスシーンでも使われることがあります。
基本的には「時間がかかった」「困難を乗り越えた」という文脈で使われることが多いです。
ビジネスシーンでの「漸く」の実際の使われ方を、例文とともに3つほど紹介します。
作業が終了したときの例文
ビジネスシーンでは、作業が終了したときに「漸く」が使われることがあります。
【例文】
今年度初めから着手してきたプロジェクトですが、12月に漸く完了しました。
これもひとえに、〇〇様にご尽力をいただいたおかげです。
それでは、今後ともよろしくお願い申し上げます。
このように「長期間かかったプロジェクトがやっと完了した」という意味で使われています。
業績が安定したときの例文
業績が安定したときに「漸く」が使われることがあります。
【例文】
直近下半期の実績におきまして、弊社の業績不振が漸く回復の兆しを見せております。
これらの実績に伴う我が社の対応につきましては、後ほど詳しくご説明させていただきたく考えております。
この場合の「漸く」は「業績悪化がなんとか回復を見せた」という意味合いです。
資格を取得したときの例文
資格を取得したときの報告にも「漸く」は使われます。
【例文】
ビジネス・キャリア検定試験の1級を受験し、漸く合格したことを報告します。
試験合格まで時間がかかってしまったことを、心よりお詫び申し上げます。
資格試験にギリギリ合格したことを意味しています。
「漸く」の意味を理解してビジネスで使いこなそう
「漸く」は普段あまり目にする機会が少ない分、間違いやすい漢字です。
「漸く」の読みや使い方を理解しておくことで、ビジネスやコミュニケーションを円滑に進めることができるでしょう。
「暫く」や「悉く」も普段あまり目にしないため、「漸く」と混同してしまうことがあります。
「漸く」だけを覚えるのではなく、他の間違えやすい漢字ともきっちり区別できるようになることが大切です。
難しい漢字を使いこなせるようになれば、教養のある人だと思われるようになりますよ。
- 「漸く」は「ようやく」と読み、長い間待ち続けていた状態が実現したときや、苦労の末になにかを達成したときに使う
- 「漸く」の語源で有力とされている説は、水を意味するさんずいと「斬る」の組み合わせで「水の流れを斬って少しずつ導きとおす」から「少しずつ」の部分だけが残ったというもの
- 「漸く」と間違えやすい漢字は「暫く(しばらく)」「悉く(ことごとく)」
- 「漸く」の3つの使い方は「苦労が実ったとき」「少しずつ状況が変化するとき」「ギリギリ・やっとのとき」
- 「漸く」のビジネスシーンでの主な使われ方は「作業が終了したとき」「業績が安定したとき」「資格を取得したとき」